デザインコンパスブログ「ポッカポカ日和」

間仕切りを兼ねたテレビボード

2020-3-31

前回の更新から1ヵ月。
たった1ヵ月前は臨時休校にそこまでしなくても・・・と内心感じていましたが、日々の状況の変化に唖然とするばかりです。
緊張感と思いやりを忘れずに、いまできることに集中して頑張っていきましょう。

お仕事の面では、トイレなどの設備機器が一時発注すらできない状況でしたが、ようやく発注受付がスタートしました。
反面、ヨーロッパからの輸入金物類が一部4月いっぱい入荷しない状況です。
特殊な器具類はお待たせする可能性がありますので、ご了承ください。

さて、遅くなりましたが、昨年からお打合せをさせて頂きましたS様の家具をご紹介致します。
ご新築マンションのリビングに合わせて、テレビボードと書棚、クローゼット、飾り棚・・・と様々な用途を兼ね合わせた間仕切り家具です。


初回のご提案図面です。
窓が多くテレビを取付ける壁がないこと。書斎スペースを設けたいけど圧迫感は解消したい。
などからテレビボードを兼ねた家具で空間を間仕切りたいというご要望でした。
大画面テレビが設置できる壁量と通路幅の確保、難しい条件に答えが出るまで随分お時間を頂きました。


その後、ある程度フォルムが決まりましたが、私も同じ物を製作したことがないのでパースにして仕上りの確認です。
テレビを壁掛にした時に斜めから見た飾り棚が画面を干渉しないか、書斎側に設けたクローゼット扉とタイルの納まりなど・・・。
S様へのお伺いはもちろんですが、自分が仕上がりを確認する為の作業です。
テレビ画面を干渉しない下の寸法で、製作させて頂きました。


いよいよ設置の日。何もない空間にドシンと設置していきます。
テレビコンセント類を家具に組み込む作業からです。


下台と、テレビが取付く壁を設置しました。
タイルは予め、納まりが難しい部分だけ工場で貼っておきました。


こちらは書斎側です。右奥に見えている柱のような筒状の箱は壁掛けテレビの配線ルートとなります。


上部に収納が乗り、飾り棚を設置しました。なかなかない形状です^^


そして書斎側はこんな形で仕上がりました。
窓側には同じ素材でデスクを設置しています。


手前の扉はコート掛けになっています。
リビングからまわり込んですぐの場所に便利なクローゼットです。
奥の棚は書棚、下は大容量の引出になっています。


飾り棚の納まりとバランス、ぐるりと貼ったタイルが美しく見える決め手になっています。


テレビ側も充実した収納量です。上部はプッシュオープン式のフラップ扉になっています。
テレビが付いた状態を拝見できませんでしたが・・・と掲載する予定でしたところ、S様がお写真を送って下さいました。


テレビ画面が予定通りにピッタリ。飾り棚にも素敵に飾って下さっていました。


書斎側は・・・特等席にどなたか座ってらっしゃいます^^
最高のプライベード空間ですね!
コンパクトに必要なものが集約されていながら閉塞感がない、理想的なこもれるお部屋のような気がします。

S様、この度はご相談頂き本当にありがとうございました。
ご家族の新生活を心より応援しております。

シームレスな洗面とスマートなカップボード

2020-2-29

コロナウィルスの影響で刻々と変化する状況に戸惑うばかりですが、今できることを冷静に判断していきたいと思います。
そんな中、小学校も突然の休校で昨日はどんな顔して帰ってくるかと思っておりましたが「先生お世話になりました会」をしたとのことでした。
前々から計画していた先生へのサプライズは全て実行できなかったけど、皆んなからのメッセージは伝えられたそうです。
一年間、愛情を注いでこられた先生が終業式もできずに終了を余儀なくされ、教育業界は子供や親以上に先生もやりきれない気持ちかと思います。
不満や避難はどうしても出てしまいますが、子供たちの柔軟で思いやりのある行動にはっと気づかされた一日でした。与えられた時間を大事に頑張っていきましょう。

 

さて、昨年から打合せを重ねてきましたM様の洗面台とカップボードを施工致しました。
ご新築の工程に合わせての設置でしたので、設備や電気工事はハウスメーカーさんに予め図面で先行して頂きました。

こちらは洗面台。間接照明の通電した状態を確認できずのお引渡しでした。
間口180cm。横ラインをスッキリと強調したフォルムです。


こちらは洗面後ろの階段からの景色です。
降りてきながらハミングしてしまいそうです^^


お引越し後におじゃまして、照明がついた状態を拝見できました。
使いやすさと収納したい物が入る高さ、間接照明が映えてスッキリ見える高さ両方のバランスを図りました。


人工大理石の天板とボウルはもちろん、排水溝もシームレスで清潔感があります。
立上りの水撥ねも防水用のタイルなので気にならない以上に、タイルの陰影が美しく幻想的です。

カップボードも設置させて頂きました。

こちらは下のキャビネットの間口が約3.6m。
当初は下台だけの予定でしたが、吊戸棚もご提案させて頂きました。
洗面台と同じく、横ラインを強調したフォルムでスッキリしています。


引出の高さもMさんが普段使いやすい高さでミリ単位の設定です。
水筒や調理器具などに有効高さ30cm確保しつつ、内引出しを設けたスパンを1ヶ所。
食器類用の浅い引出しと別に高さ設定が違う引出しがあると便利です。


そして食品庫のスパンも一つ。
引出と違うメリットとしては、メッシュなので3段が見通せるところでしょうか。
お引越し後にお伺いすると早速たくさん使って頂けていました。


最近ご要望が多いのは取っ手は付けたくないけど引出し易い引出し。
ということで、よく使わせて頂いている引手です。
よくあるライン引手と違って正面から見える引手はわずか5mm。
扉と同じ面材で巻き込んでいるので設備機器感が軽減されて、楽に引出すことができます。

養生を剥がしてからの状態をしっかり撮影することができませんでしたが、リビングからの景色もスマートでスッキリしていました。
白いキッチンと木目の家具類に合うカップボードの素材をずいぶん悩んで決めて頂きましたが、両方を引き立てる名脇役になっている気がします。
M様、昨年から大変お世話になりました。
ご家族の新生活を応援しております!

シックモダンな大人のテレビボード

2020-2-24

随分お久しぶりの投稿になります。

昨年からお打合せしておりましたK様のテレビボードをご紹介させて頂きます。
3.3m程の幅があるリビングの壁面に、以前はスタンド型のテレビと高さの異なる家具を置かれていました。
画面の大きなディスクトップパソコンを頻繁に使用されるとこのことで、その他の機器もスッキリ見えるようにとのご要望でした。

まずはフォルムのご提案。
吊戸棚とテレビボードだけですと余白が多い反面、両サイドに収納を設けると圧迫感が・・・とのことで、Bをベースに具体化させて頂きました。

ある程度、フォルムが固まってきた段階で素材をご検討頂きました。
色はダーク系の木目、タイルもグレー系をご希望でした。

左の2枚はメラミン化粧板です。
色味はこのくらいの濃い色をご希望でしたが化粧板特有の反射が気になられるとのことで、右のウォールナットに着色ウレタン塗装を施す方向でサンプルを作成致しました。
天然木は樹種の特徴が一番活きるクリア塗装が多いのですが、素地の色だけですとインテリアの表現力としてはやはり限られてしまいます。

タイルに合わせるとより印象の違いが分かります。
下の素地のウォールナットに合わせると少しカジュアルに、上のダークトーンに合わせるとシックに、合わせる色味でタイルの印象も違って見えるから不思議です。
逆もしかりで、同じ扉に合わせるタイルが違うと印象がガラリと変わってきます。
だからインテリアは人それぞれ、自由で無限で楽しいんでしょうか^^

家具の取付の前に、下地工事をさせて頂きました。
コンクリートの壁なので騒音対策で梁と床の間に柱を立てます。こうすることで壁掛テレビの配線ルートも確保できて家具の取付がスムーズです。

5cm程手前に出てはきますが、予め電気の配線とクロス工事も同時に出来て騒音も抑えられました。


2週間後、いよいよ家具の取付です。
全く分かりませんが、先日ふかしておいた壁に取付けていきます。


吊戸下には間接照明のテープライトを仕込んでいきます。
カバーをするのでテーブライトの粒感もほぼ気にならず、収納にも影響なく最小寸法で抑えられます。


下地工事から二日目、家具の設置が終わりました。
家具だけでも以前より随分広く感じます。


最終日、タイルを貼っていきます。


タイルの割付けに合わせた両サイドの棚。
無駄な金物が見えないインロー式でタイルを貼りながら設置していきます。


テレビ、モニターを設置して無事完成しました。更に広く、すっきりとしてとても心地良い空間になりました。


充実した引出し収納は全てレールが見えないプッシュオープン式です。


両サイドは2段の引出ですが、中央は機器類の為に開き扉になっています。
ダミーの目地が繋がっているので、より幅広く見える効果があります。


テレビボードの間接照明は下からのアッパーライトを採用することが多いのですが、スピーカーや機器類で光が干渉されるので、今回は吊戸下に設けました。
光の量と、光の色を調節できる調光調色機能がついているので、様々なシーンを楽しんで頂けそうです^^


K様がご準備されていたパソコンのモニターアームをお預かりして、予め可動域を確認させて頂きました。
正面に向けた場合と右側面に寄せた場合。


実際はこんな感じで納まりました。右側の棚1枚はアームに干渉しそうで断念して頂きました。
自由に取り回しができそうですがどうでしょうか。


モニターアームの小さなデスクはキーボード用ですが、ソファーのサイドボードとしても配置を自由に変えてご利用頂けたらと思います。
明るい昼間の撮影でしたが、夜は間接照明だけの演出もとても素敵かと思います。
シックでモダンな大人の空間。
素材や機能性にこだわって頂いて、そしてお打合せも楽しんで頂いて、こちらもとても遣り甲斐があり楽しませて頂きました。
また感想などお聞かせ頂けると幸いです。
K様、大変お世話になりました。これからもよろしくお願い致します。

まるでハリーポッターの世界! 

2020-1-29

先々週、宣伝部長のポッカ君が11歳になりました。
毎年野菜盛りをプレゼントしてます。

「お願い、早く頂戴!待ちきれないよ~」


「僕の好きなもの入ってる?」(何でも好きやろ~?)


「もう誕生日2週間も前だし。11歳だからってお爺ちゃんって言ったらダメだよ!」
(はい、は~い。病気しないで長生きしようね^^)

さて、前置きはここまでにしておいて、先日フローリングメーカーのショールームに行ってきました。
ヘリンボーンの床材を探していたところ、「マルホン」というメーカーさんが良いコラムを書かれていてたので、お客様に引用させて頂いたのがきっかけでした。
偶然にもその日に福岡にショールームがオープンしたとのことで、早速見に行ってきました。


何の前情報もなく足を踏み入れて、驚きました。
まるでハリーポッターに出てくる図書館のような世界観です。
無垢材のメーカーさんなので、あえて断面が見えるように陳列されているそうです。


メタルの床はそのまま階段へ進むと床として、一段降りるとカウンターとして利用されていました。
葉のようにデザインされた形状、斬新で理にかなったアイデア。脱帽でした。


階段にも上がらせて頂きました。
何でしょう。この高揚感と不思議な世界観。
木材の連なりと絶妙なカーブが非日常のワクワク感を募らせます。


その天井は、まるで葉脈のようです。
形や素材、光、デザイン、全てに意味のある素晴らしい空間でした。


ところどころに置かれている古いカンナも良い味が出てます。


その後、フローリングを実際に並べて見せて頂きました。
静岡が本社とのことでうなぎパイまで頂いて・・・、とても丁寧に説明して頂きました。
本当に商品と自社がお好きなんだなぁと感心させられました。
本社や東京支店は広いショールームのようですが、こんな特別感のある隠れ家的なショールームはとても魅力的だと思います。

お客様の一声がきっかけでこの空間を体験できてラッキーでした。
たくさんアンテナを立てて引出しを増やしていきたいと思います。

組子細工とテレビボード

2020-1-19

昨年8月にテレビ台のお問合せを頂いたI様。
リビングのお写真やオーディオ類の情報を頂いて、ご参考図面を作成させて頂きました。

ですが、初めてお伺いした日。
そのベーシックなご提案とI様が望まれているものがかけ離れていたことに気づかされました。


オーディオに精通されているI様。
歳を重ねるに連れて工芸品に惹かれるようになったそうです。
そこで、テレビ台に組子細工を取り入れたいとのことでした。
当然組子という言葉は知っておりますが、どうやって作られているかなど殆ど無知の私。
I様が取りためた組子のスピーカーカバーの写真など拝見させて頂きながら、はぁ・・・とお返事するのが精一杯でした。
今では手に入らない、そして聞く機会も中々ないスピーカーで最高の音を聴かせて頂いて、ご期待と大きな課題をたくさん持ち帰らせて頂きました。

さぁどうしたものでしょう。
まずは組子職人さんに頼らなければということで、大川の仁田原建具製作所様に相談をさせて頂きました。
I様のご希望の素材はスピーカーと同じウォールナット。
後々スピーカーカバーにも組子を取り入れたいと伺っていたので、下のようなイメージのものが出来るかどうかお尋ねした記憶があります。

ですがこれは旋盤機械で作られたもので手工業の組子とは違うとのこと。
組子ド素人の私に詳しく教えて頂いて、電話だけでお人柄と組子への情熱を感じました。
仁田原さんのお誘いで、I様と一緒にショールームを見学させて頂くことになりました。


最初に目に入った作品からわぁ~と何度言ったか分かりません。
緻密で繊細な組子の作品を間近で拝見して、本当に溜め息が出るほどでした。
たくさんの素晴らしい作品がある中で、中央の満月を彷彿とさせる作品に特に魅了されていたI様。
テレビ台にどう取り入れたら良いものか全く答えが出ないまま、また大きな課題を持ち帰らせて頂きました。

これから私の迷走が続きます。
ウォールナットベースのテレビ台に和の要素の組子とスピーカーをどう合わせたら良いものか、
幾何学模様ではなく、何かを彷彿とさせるデザインを取り入れるには・・・
キャンパスと同じようにベースとなる三つ組手(みつぐて)という組み方を教えて頂いて、それに鉛筆で描き入れてみることにしました。


何か変わったことをしなければという気負いと果たしてお部屋に合うのかという不安。
正直自信がないまま、I様のお好みやご意見を聞きだす材料としてお送りしましたところ、①のりんどうというお答えだけ頂きました。
消去法での①だったのかそれとも①!だったのか・・・いつかお伺いしてみたいと思います^^;


テレビ台全体のイメージの確認として、失礼ながら組子の写真を貼り付けさせて頂きました。
お色味や質感をよりイメージして頂きたかったのですが、サイズ感や縦横向きもバラバラです。

仁田原さんにりんどうの花模様をベースに具体的な図面を描いて頂いて、ようやくまとまりました。


最終的に5つのりんどうの花がポイントになった組子の扉。
同じデザインでも、使う樹種の色味によってまた違った印象を受けます。
一番右に近いイメージで製作して頂くことになりました。
これなら和にも洋にも、ウォールナットにも馴染みながら良いアクセントになりそうです。

製作に至るまで随分長い間お待たせしました。
そして、一流の職人さんとのご縁をつくって頂いて本当に感謝しております。
お客様から与えて頂いた機会を大事に成長していきたいと思います。
I様、仁田原さん、いよいよこれからワクワクしてます^^
どうぞよろしくお願いします!

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