デザインコンパスブログ「ポッカポカ日和」

5m超のキッチンダイニング収納

2023-5-2

先日、S様のキッチンからダイニングに繋がるカウンター収納を造作させて頂きました。


雰囲気があってとっても素敵なダイニングキッチンでしたが、収納力や使い勝手に問題がありました。

 
ご新築時に大工さんが造り付けられた棚は食器収納に向かず、スペースはあっても収納としてはあまり機能していませんでした。
食器はキッチンから遠いダイニング側の食器棚まで出し入れされていて、毎日となるとかなり負担になる家事動線です。
反りが激しくお手入れがしづらい無垢材のカウンターもお悩みの種でした。ファンヒーターのガスコックも考えたいところです。


左の壁から冷蔵庫まで、間口は約5.1m。この幅を活かさない手はありません。
収納力はもちろん、スッキリとお部屋がより広く見えるようなご提案をさせて頂きました。
以前は左側面の壁に置かれていたテレビもカウンターの上に乗せて、LDKに必要な収納を全て組込みたいと思います。


製作期間を頂いていよいよ施工の日です。
既存の造り付け収納はS様ご依頼の大工さんに撤去して頂きました。


こちらはダイニング収納。テレビ台も兼ねた一番左側にはレコーダーが入る予定です。


キッチン側の収納も連結させました。高さが揃うだけで感じる広さが違います。


長い長いカウンター。スリスリしたくなるほど気持ちが良いです。
格子天井と木目がリンクしていて良いアクセントになっています。


完成しました。
爽やかな風が通り過ぎていくような清々しく心地良いダイニングキッチンです。
施工の直前まで白で良かったのか不安で・・・と仰られていましたが、断然良かったと思います^^
以前よりも既存の格子天井と飾り棚が映えて、シンプルながらも名脇役な家具になりました。

 
機能も充実しています。
ガス式の炊飯ジャーの為、ガスコックのホースが極力邪魔にならないよう、下のスライドカウンターに落しています。


以前は目の高さの食器棚に重ねて収納されていた平皿や大皿類。
今度は引出し収納になったので、お皿を立てて収納できるアイテムがピッタリ入るサイズに設計させて頂きました。
キッチンを振返るとすぐ使いたいお皿が取り出せる・・・なんて気持ちが良いんでしょう!


まるで列車のような引出たち。意味もなく開け閉めしてしまいそうです。
キッチン側の引出しはハンドルを付けてゆっくり閉まる機能を、ダイニング側の引出しはプッシュオープン式で凹凸なくスッキリと。
S様のご要望がかたちになりました。

 
そして一ヶ所だけ台輪がない扉には、ガスファンヒーターを収納できるようになっています。
ずっとここで使用される物なので、一年中の定位置です。わざわざ別の場所にしまいにいくこともありません。
冬は内部のガスコックに差したまま、扉下の隙間からホースだけを出してスマートにご使用頂けます。
すぐ横の台輪部分にコンセントを仕込んでいるので、ファンヒーターはもちろんホットプレート等にも何かと重宝して頂けそうです。


カップボードとTVボード、リビング収納、全ての要素がこのカウンター収納に集約されました。
在宅されている時間のほとんどがここで過ごされると仰られていたので、より居心地の良い場所になっていると嬉しいです。
今はまだ出来たてホヤホヤで家電やテレビも緊張気味ですが、これから色々なアイテムやS様らしさが加わってどんどん素敵になっていくと思います。

S様、この度は大変お世話になりました。
これからのお家時間もたくさん楽しんでください^^
今後ともよろしくお願い致します。

和を感じる、ニュアンスカラーのサイドボード

2023-4-25

I様のリビングに、テレビ台を兼ねたサイドボードを製作させて頂きました。

初めてお伺いした際、お話し頂いたご要望は、
・今はテレビ台を兼ねたいけど、将来はテレビを置かない予定
・機器類やその配線をスッキリ隠したい
・3人目のお子様のご出産前に、収納場所を確保したい
・ピアノを左右どちらに置いても収納の開け閉めに問題のないようにして欲しい
・お部屋に合いつつ、ちょっと和の要素もあって他にない感じにしたい
とざっくりですが、このような内容でした。


コンパクトなテレビ台を置かれていましたが、間口は4.4m。
端から端まで収納を設けるだけでもお部屋が随分広く感じられそうです。
梁の下でどんよりと影になっている壁面も気になるところです。

初回のご提案をさせて頂きました。

壁に対してバランスの良い高さで間口いっぱいのサイドボードです。
素材や引出しの場所など、あえて色々なパターンでご提案させて頂きました。
木目じゃない方が・・・、和柄を取り入れたい・・・、ルンバは別の場所に置く方向で・・・
ベースプランを基に、色々なヒントを頂きました。

もう少しイメージが湧くような提案を~ということで、パースを作成しました。
自動で立ち上がる3Dパースではなく、線で描いて素材を貼り付ける古風なパースです(汗)

中央に和の要素のある素材を用いることで、全面が同じ扉よりも空間が締まります。
上下の絵は同じに見えますが、上は天板だけ木目、下は天板と台輪を木目にした絵です。
ほんのちょっとしたことで、印象が変わります。
下の絵の方向で製作させて頂くことになりました。


製作期間を頂いて、いよいよ設置の日です。
コンセント類を移設しながら家具内に取り込む準備をしています。


本体を設置しました。
壁から壁まで隙間なくピッタリです。
ピアノの前の収納をギリギリ引出せる奥行きになっています。


天板は中央でジョイントしています。
奥に間接照明も入ります。


多少の柄のズレはありますが、フラットに美しく納まりました。


間接照明も点灯しました。
梁の影でどんよりとしていた壁面が、まるで日の出のように幻想的で特別なスペースになりました。


完成しました!
イメージ通り、スッキリと洗練された絶妙なニュアンスカラーのサイドボードです。
難しいカラーバランスでしたが、中央の和柄がアクセントの唯一無二なオリジナル家具になりました。


和柄の扉以外は、引出しになっています。
こちらはDVDの背表紙が見える高さ設定の引出し。


そしてその中に内引出しを設けています。
高さの要らない細々とした筆記具、通帳、保湿剤・・・等々、何かと重宝して頂けると思います。


下段は下から手を掛けて開ける引出しに。
閉めたときに美しく見えるように、上の扉とは違うフラットな扉です。
閉めるときは全て、ゆっくり閉まるソフロクローズ機能の引出しになっています。


和柄の扉内は、機器類が入っています。
配線が見えなくなっただけで気持ちが良いですね。
扉の裏が繰り抜かれている部分は、リモコンが通るような加工をしていますが・・・


扉を閉めると全く分かりません。
この和柄の扉だけ、柄方向が間違えて入荷したため後日のお届けになりました。
待ちに待って頂いた主役の扉です。


和柄以外の扉は、なめらかなレザーのような手触りです。
少しくすんだ木目の天板の組合せはベストメンバーでした^^
木目が強い床と梁に、このニュアンスカラーは少しチャレンジでしたが、完成してホッとしました。


サイドボードが設置されたことで、以前より幅広さの認識ができたせいか随分広く感じられるようになりました。
このブログを書いていて気付いたのですが、スマホのレンズが曇っていたせいで写真がぼやけています(泣)
意図せず更に幻想的に見えるでしょうか^^;

後日、I様が夜のお写真を送って下さいました。

昼間とは違う神秘的な雰囲気です。
お子様が寝静まった後の一人の時間、ご夫婦二人の語らいの時間、日々の喧噪から離れて疲れを癒してくれる時間が生まれると良いなぁと思います。
便利で快適な機能以外に、家具ができること。たくさん増やしていけますように。

Iさま、積極的に参加して頂いて、また楽しんで頂いて本当にありがとうございました!
これからも末永く、よろしくお願い致します。

リビングのトータルコーディネート

2022-12-31

今年も大変お世話になりました。
年内最後のお仕事ブログです。
今月施工させて頂きましたK様の家具をご紹介させて頂きます。

7月にお電話頂いたときは「フロート型のテレビボードにエコカラットを貼りたい」というご要望でした。
ご新築マンションの内装設計段階で、後日平面図をご持参頂きました。

お会いした時から設計以外のお話しも沢山盛り上がってしまい、時間を忘れて楽しいお打合せでした。
リビングにお仏壇を置きたいけれども、方角的にテレビボードの面しかないということで、お仏壇を含めたご提案。
そして窓側のベンチ収納、クローゼットも少し考えて欲しいとのことで、こちらも含めてトータル的に検討させて頂くことになりました。

テレビボードの最初のご提案です。
お仏壇の存在が大きくて頭でっかちな印象です。お仏壇を上下の扉でどう隠すか等を考えていました。
せっかくテレビボードを宙に浮かせても横の広がりがあまり感じられない窮屈な印象です。

テレビボードもそうですが、クローゼットも面積の割には有効利用しづらい間取でしたので、僭越ながらレイアウトからご提案させて頂きました。


リビングからクローゼットに出入りする必要がないとのことで、間仕切り壁を右側にずらし、テレビボードの幅を拡張しました。
クローゼットの面積的には狭まりますが、長い壁面が確保できるので収納量は圧倒的に増えます。
テレビボード面の壁も寝室に支障が出ない程度に上側にずらし、リビングを広くしています。
こちらの方向で、再度テレビボードをご提案させて頂きました。

以前より随分すっきりしてきました。
お仏壇は大きく隠さず、台に乗せる方向でのご提案です。ただ、設置する高さが問題でした。
お仏壇を拝む高さは胸より少し上が良いとされます。
立って拝むには上図の高さになりますが、テレビより上では何だか仏様も落ち着かない印象です。
かといって下図になると見下ろす高さになります。


そこで、座る方向で検討させて頂きました。このベンチの仕掛けは後程のお楽しみです^^

製作期間を経て、いよいよ施工の日です。

既に間接照明も入って素敵に仕上がりそうな予感がします。


テレビボードが取付きました。お孫さんが万が一乗っても大丈夫なように下に下駄を履かせています。


テレビボードの上に壁を造作していきます。
壁から15cm手前に出ますが、この凹凸があることで空間に表情が生まれます。


ふかしていない壁にパネル状にした格子を貼っていきます。
コンマ何mmの寸法で美しく納まるように格子を割付けて製作しています。


その上にお仏壇の台を設置しました。
歪な形状ですが、全て計算されたデザインです。


梁の凹凸に合わせてピッタリ。上部の格子も美しく納まりました。


3日目、テレビを設置して完成しました。
イメージ通りの優しいグレージュを基調にした素敵な空間に仕上がりました。


窓側のベンチ収納はリビングから寝室側へ約5.8m。
凹凸のないフラットな扉がより長さと奥行きを感じさせてくれます。


一見、何も分からない壁のような扉ですが・・・


お部屋の中心になる扉にはルンバが収納されています。
開けっ放しにしていても扉が邪魔にならず、ちゃんと出動してくれます。
余談にはなりますが、取説の寸法で設計していたため扉が閉まらず最後までご心配をお掛けしました。
背面を加工してなんとかスッキリ収納することができました。日々反省です。


そして、ルンバだけでなく、お隣の扉も実は仕掛けがありました。
お仏壇に一番近い扉をキャスターで移動できるベンチにさせて頂きました。


ちゃんとこうして座って仏様と向き合うことができます。


座るだけでは勿体ないので、中も収納BOXになっています。


シンプルだけど、全ての扉を開けるとこれだけの収納力です。
お部屋は広く見えて、ベンチにもなって、ルンバや椅子も収納されて・・・一石数鳥の効果です。


テレビボードも見た目は浅い奥行きですが、ふかした壁の奥まで利用しているので、深い引出しの収納力は抜群です。


見えないところも裏側まで木目を合わせて美しく納めています。
お仏壇のお供えするときにちょっと置けるようにというご要望でスライド式に。
ホワイトアッシュの無垢材を難しい色で調色しています。
いつもこちらのニュアンスを上手く読み取ってくれる塗装屋さんに感謝です。


完成してしまうと寂しい気持ちですが、K様がずっとイメージされていたカラーや雰囲気に近づけて本当に良かったです。
コンパクトな既成のお仏壇を置いて頂きましたが、お仏壇も合わせて作って欲しいとのことで、また唯一無二のものを考えたいと思います。

K様、お打合せから楽しい時間をありがとうございました。
大変お世話になりました。
また来年もどうぞよろしくお願い致します。

皆さま良いお年をお迎えください。

 

クラシカルで機能的なサイドボード

2022-10-1

おかげさまで工場の引越しが無事終わました。
途中、宣伝部長も見届けましたよ(笑)

材料の整理が追い付かず、行ったり来たり動線が入り乱れておりますが、稼働し始めております。
お待たせしておりますお客様、熱いハートで製作しておりますのでどうぞよろしくお願い致します。

さて、先月初めにお届けしましたK様の家具をご紹介させて頂きます。
ダイニングのコーナーにそれぞれ置き家具を置いていらっしゃいましたが、機能的にスッキリしたいというご要望でした。

   
こちらは左のコーナー家具。
ダイニングテーブルを振返ってすぐの位置に、お仕事のファイルやパソコンの充電器など配線が露出していました。
そこで天板にコンセントを設け、隠したいファイルの収納と小物の収納を方向を変えて2面に設ける計画です。

   
こちらは右のコーナー家具。
たくさんお持ちのランチョンマットを綺麗に隠し、手前側にはハンディモップを収納できるような計画です。

 
こちらは扉が付く前の本体です。
こうして見ると不思議なオブジェのようですが、それぞれにしっかり居場所が決まっています。
当初はエレガントな白のイメージでしたが、クラシカルで落ち着いた木目で製作することになりました。


製作期間を頂いて、お届けしました。
左側の家具は内部と天板にコンセントを設けて、配線を隠しています。


扉を開けると多目的収納です。
ノートパソコンは充電器ごと収納されていて、必要な時はダイニングテーブルでそのまま使用して頂けます。


右側の家具も、左とシンメトリーに見えるように表向きは統一させています。


扉を開けると左とは違う用途の収納です。
それぞれシビアに採寸して、全てが綺麗に納まるサイズで外寸が決まりました。
コンパクトでも多機能で工夫が詰まった家具になりました。


細か過ぎるようですが、台輪の部分も既存の巾木に合わせてカットしています。
置き家具にはない納まりの美しさがあるかもしれません。

施工後、お写真と共にとても使い勝手が良いですとメッセージを頂きました。

新入りの家具ですが、お手持ちの家具と調和して立派な佇まいでした。
たくさん愛用して頂けると嬉しいです。
K様、これからもどうぞよろしくお願い致します。

シンプルモダンなモノトーンインテリア(リビング編)

2022-6-10

引き続き、K様のリビングをご紹介させて頂きます。


写真は現地調査前に頂いていた以前のリビングです。
一つの空間ですがテレビがコーナーに有り、ダイニングとリビングが分かれている印象でした。


当初の予定はキッチン周りの家具だけでしたが、急遽テレビボードもご要望頂きご提案をさせて頂きました。
ダイニング側に少し収納のボリュームが欲しいとのことで、いくつか図にしてみました。
しかしカウンターが一枚繋がっていた方がより広く見るので、ダイニングでも使い易い高さに少し上げて右の図で製作させて頂くことになりました。
色は限りなく黒に近い木目。シックでカッコいいテレビボードを目指します。


設置面の壁がコンクリート躯体で強固に設置する事ができないので苦肉の策です。
下駄をはかせてその上に乗せることで強度を保ちつつ、配線ルートも兼ねています。


本体は3つに分けて設置していきます。


天板はエレベーターに乗るサイズで2枚に分かれていますが・・・


ジョイントすると殆ど継ぎ目が分からなくなりました。


タイルを貼って、間接照明を繋いで完成です。
スタイリッシュで洗練されたリビングになりました。
そして以前よりも随分お部屋が広く感じられます。


天板の両サイドには上から抜き差しできるコンセントと配線孔を設けています。


ブラックアルミフレームのガラス扉。
異素材が少し入るだけで、全体が同じ素材の扉よりも空間がキュッと引き締まります。
ガラス自体は透過性がありますが、内部を黒にすることで透けにくく艶やかで高級感を感じます。
足元の間接照明も浮遊感があって気持ちが高まります。


キッチンからの眺めも良いですね。
キッチンの白とは逆に引き締まった黒が洗練された印象です。


キッチンとリビングダイニングが一つになりました。
白と黒、ガラスタイルとマットなタイル、質感は違ってもモノトーンで揃えられたことで統一感があります。
ガラスタイルの色ムラが遊び心があって垢抜けた印象です。
テレビボードの足元灯(写真は点け忘れてますが)は、リモコンで調光と調色ができるので、シーンに合わせて楽しんで頂けそうです。
ご夫婦のお酒の時間がより特別なものになると良いなぁと思います。

K様、昨年から大変お世話になりました。
家具共々、これからもどうぞよろしくお願い致します。

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