デザインコンパスブログ「ポッカポカ日和」

拡張ベッドと寝室の造作家具

2023-12-18

続きまして、T様のベッドとその周辺の造作家具をご紹介します。
以前、ベッドの製作途中をご紹介していましたが、いよいよ設置していきます。

 
幅2.6mは一度に入らないので、分割して設置していきます。
まだベッドの気配が全くしませんが、配線や金具がいろいろ出ています。
壁のわずかな凹凸に合わせて微調整しながら何とか入りました。


本体が無事設置されました。
メインベッドの下に拡張するベッドの本体が隠れて見えています。
縦横にお部屋を埋める家具は、僅かなズレが全体に影響するのでとても難しい納まりでした。


そして、お部屋を印象づけるヘッドボード。
かまぼこ型のベースにクッションを巻いたものを一つ一つタイトに設置していきます。
今まではボタン締めのクラシックなヘッドボードを製作したことがありますが、同じ空間でもクッションの形が変わるだけで印象が変わります。


完成しました。
大人のフェミニン。
甘過ぎず、凛とした優雅さと可愛らしさを合せもったMさんらしい特別な空間の完成です^^
ヘッドボードに合わせてフットボードも製作しました。

 
メインベッドの下には、シングルベッドが隠れています。
マットレスの高さと長さをシビアに追って設計させて頂きました。

 
拡張するシングルベッドの枕元に掘込み棚。
就寝前の本やスマートフォン、タブレットなどちょっとした物が置けるスペースです。
側面には充電用のコンセント、上から照らすスポットライトのスイッチが仕込まれています。


長いお部屋がより広く奥行きを感じられるように、フォトフレームも製作しました。
壁掛テレビの格子に色合わせをしています。
特別な思い出の写真を一つ一つ、入れて頂くだけでニュアンスカラーのお部屋に彩りが添えられるはずです。


ベッドから見える景色も今までとは違うような気がします。
テレビ画面との距離は決して離れていませんが、何ら圧迫感を感じないどころか解放感を感じます。


デスク越しの寝室も、程良く空間が区切られました。
寝室、書斎、メイクルーム、クローゼット・・・部屋として区切られていないホテルのようなレイアウト。
ライフスタイルが多様化する今の過ごし方にぴったりかもしれません。

お部屋の使い方を色々お話し頂いて沢山レイアウトをさせて頂いた結果、一番良い使い方に辿り着けた気がします。
T様、これからが楽しみですね。
ご家族と一緒にまた新たな思い出が作られていくと嬉しく思います。
この度は、たくさんチャレンジさせて頂けて本当にありがとうございました^^

寝室と書斎を仕切る家具

2023-12-18

気付けば今年もあと2週間です。
年末年始にかけてお届けの家具の製作真っ只中で、今年はまだまだ終われません(汗)

先月完成しましたT様の寝室をご紹介させて頂きます。

こちらは施工前。
南側に腰窓と掃出し窓、西側に掃出し窓と壁面が少なく長細いお部屋でした。
  
計画中の間取図はこちら。

西陽が強いので窓一面を塞いでここにベッドを設けましょうということで・・・
 
工事でお世話になっている㈱西日本住設さんにベース工事をして頂きました。
クローゼットと入口ドアの位置も変わっています。


長細いお部屋の窓の間に空間を仕切る家具を設置していきます。


左側からはデスクと収納、右側からはブックスタンドと収納。
両面からそれぞれ奥行きも用途も違う収納になっています。


天板を設置した後、1本ずつ格子を立てていきます。
上下に横棒を入れれば一気に取付けできますが、見た目が変わってしまいます。
ピンポイントで天井高の違う場所に、根気良く設置していきます。


格子が設置できました。壁として仕切らなくても空間がちゃんと仕切られています。


デスクが完成しました。
クラシック過ぎないスマートな細框が利いた、上品なドレッサーにもなるグレージュのデスクです。


一番下の引出はファイルなど立てて入れられるように、仕切り板を設けています。

 
格子の前に取付けられた吊戸棚。
左側にはマグネットボード、扉をスライドさせると中央にはミラーが隠れています。
普段どちらを隠しておくかはお任せですが、隠したいものと見たいものが1枚の扉で行き来します。


なぜ、折角の格子を吊戸棚で隠しているかは、背面を見て頂けると分かります。


壁掛テレビのサイズに合わせて、背面を隠す吊戸棚にしました。
長細かったお部屋が、ベッド側とデスク側とで圧迫感なく仕切られています。


ベッド側中央は、背面がデスクで脚を入れるスペースなので、奥行きの浅い絵本立てになっています。
その左側は、背面が奥行きのある3段引出しですが・・・


開けると同時にフタが開く小さなゴミ箱が隠されています。
ここには格子の中を通って下りてきた配線のコンセントも仕込まれています。


お部屋に合わせてカーテンもコーディネイトさせて頂きました。
大人フェミニンなニュアンスカラーの色使いで優しく包まれるような空間になったような気がします。
西陽が強くカーテンを閉めっぱなしのお部屋でしたが、お家の中で一番の特等席になるような素敵なお部屋になりました。
こんなに窓からの景色に癒されるなんて、私も施工中に気付かされました。
時間がゆっくり流れているようです。

次は、ベッド側の造作家具をご紹介させて頂きます。

リビングに調和するクラシックサイドボード

2023-11-16

K様のリビングインテリアに調和するサイドボードを製作させて頂きました。
正直にお話しすると、今までご依頼頂いた中で最後まで自信が持てない作品の一つでした。
最後まで悩みましたが、絶妙に調和していく過程をご覧ください。

 
K様のリビング壁面。大画面テレビと置き家具が配置されていました。
これからはテレビを置かず、テーブルの短辺側にも座って大人数でも食事ができるように。
多少の収納も兼ねつつ、雰囲気が良くなるようにということで、カーテンも含めてご相談頂きました。

既にたくさんの家具やカーテンがインテリアとして画一されていて、そこへどういう素材を持ってくるべきか悩んでいる中、一つヒントを頂きました。
 
気に入られている絵を飾りたいということでした。
その絵の額縁からインスピレーションを得て、色を作ってみました。
左は最初にお持ちした見本。色ムラはいい感じですが、黄色を強く出したいところです。
右は2回目にお持ちした見本。ベースの色は近づきましたが、大きな色ムラが欲しいところです。


デザインと形状は ↑ のような形でご提案させて頂きました。
3m超の長さを活かさない手はありません。
でも、椅子に座る位置は奥行きわずか15cm、両サイドは30cmと少し変形のサイドボードです。
肝心の色は、絵の額縁に合わせると少しぼやけた印象なので、気持ち濃い色で締めたいと思います。
いつも頼りにしている塗装屋Mさん、どうかよろしくお願いします!

 
果たしてセラミック調の色合いに框扉(フレームのある扉)が合うのか、そこも不安を感じつついざ製作です。
こちらは塗装前の扉です。奥行きが変わる斜めの部分は合せ角度が大事になります。
ここは職人高瀬の緻密な腕の見せどころです。

製作期間を充分頂いて、いよいよ施工の日。

テレビの配線等は、台輪を通して左側面で使って頂けるように処理します。
この配線を隠すことも目的の一つでした。


上から見るとこんな変形です。
収納以上に動線やインテリアとしての見え方など、この形状が功を奏します。


扉一つ一つを設置するごとにドキドキしながら、ついに完成しました。


今まで感じ難かった横の長さ。視界がグッと広がりました。
視線が絵画に向かうので、横の広がりに加えて遠近感も感じます。


扉と同じく天板の色も悩みました。
チークのフローリングと主張するタイル、両方に調和する人工大理石を選びました。
イエローベースで緩やかな流れ模様が名脇役になっています。


斜めの部分の納まりも着色するとまた違って見えます。
丁寧な仕事もデザインの一つです。


両サイドの収納内部の背面をミラーにすることで、重たさを軽減しました。
ダークカラーは、ガラス扉にしても中が見えにくく暗くなりがちですが、こうすることで抜きが出来ました。


塗装屋さんが何度も塗り直して納得いくまでブースから出てこなかったとか・・・。
引き取りのときにこれでOKか聞かれて、「分かりません!」と言ってしまった私。
「あんたが分からんでどうするね!」確かに・・・。
でも納めてみて、お客様に見て頂くまで本当に分かりませんでした。
K様に喜んで頂いて、ようやく塗装屋さんに報告が出来ました。


家具と一緒にカーテンもご依頼頂きました。
こちらは北側。以前の重厚なカーテンから一変、外の風景を感じられて心が洗われるような雰囲気です。


南側はラグジュアリーな雰囲気のカーテン。
この両面のカーテンが先に決まり、この間に挟まれたサイドボードの意味がより重要になりました。
結果、両方と調和しつつ穏やかに見守っているような落ち着いた家具に。
インテリアとして大事な役目を果たすことが出来ました。

私が持っている知識や能力はわずかですが、お客様に引出して頂いたおかげで少し高めのハードルを超えていけている気がします。
たまにハードルを倒してしまうこともありますが、大事なことを忘れずに感動する仕事をしていきたいと思います。
K様、この度は本当にありがとうございました。

グレージュのリビング収納

2023-8-14

朝晩の暑さが少しだけ和らいできたでしょうか。
おかげで愛犬ポッカ君、4時起床でしたが5時過ぎになってきて少しホッとしてます^^;

さて、今日はMさまのテレビボード兼リビング収納をお届けしました。
ご新築にお引越し直後でリビングに家具をあまり置かれておらず、テレビ台以外に充実した収納もご希望でした。

当初はテレビボード+本棚を想定してお打合せを進めておりましたが・・・

お打合せを重ねるうちに、3人のお子様それぞれの衣類も整理できる収納をご希望ということで、色々とご提案をさせて頂きました。

上部の吊戸棚よりも使える収納を充実されたいとのことで、引出し収納ベースになりました。
リビング入口のドアが壁の途中の位置にあることと、天井高さ2.7m、建具高さ2.4mと家具をどこに合わせるか、バランスが難しい壁面です。
さて、どのプランが一番お部屋が広くスッキリ見えるでしょうか?

答えは置いておいて、お届けの日です。

下台を早々に設置してタイルを貼っていきます。


右面だけ貼り終えました。
これでも良いのですが、なんとなくリビングが右壁だけでぷっつり終わってしまい、こじんまりと見えます。


完成しました。
エレガントなMさまにピッタリのやさしい印象のリビングになりました。
天井までタイルを貼ると建具だけが目立ってしまいそうですが、建具の上端に合わせたことでリビングが随分広く見えるようになりました。


収納も驚くほど充実しています。
お子様が小さいうちは衣類がメインとのことですが、ライフスタイルに合わせて様々な収納に重宝して頂けそうです。


ダイニングからもタイルが繋がっていることで奥行きを感じます。
幅も高さも以前とは比較にならないくらい広がりました。


最近は、テレビ台という枠にとらわれない多目的な用途の家具が増えてきた気がします。
用途が変わっても、小さなお子様が大きくなられるまでずっとご愛用頂けると嬉しいです。
Mさま、二度目のご依頼をありがとうございました。
これからもどうぞよろしくお願い致します。

和を感じるゲストルームの空間づくり

2023-5-26

3月のWBC決勝戦の日に着工しましたG様邸の改装工事。
12畳の広さがある和室から、和を感じるモダンなゲストルームへリフォームさせて頂きました。

 
元は陽当たりの良い広縁と押入、床の間、仏間が並列する大変立派な和室でした。
しかし我が家もそうなのですが物置場所になってしまい、なかなか利用する機会が少なく勿体ない空間になっていました。
畳と壁のじゅらくも長年の摩耗があり、ワンちゃんも自由に過ごせるフローリングをご希望でした。


最初のご提案です。
当初は筋交いがあるため押入だけ残し、長いテレビボードを設ける案でした。
お部屋に入った瞬間、微かな高揚感と非日常の趣きを感じられるような設えができればと考えています。


その後、G様のご要望で押入も撤去したいとのことで、素材違いで上のようなご提案をさせて頂きました。
玄関ホールの和の設えと並列する洋間には右の色合いかもしれません。
でも敢えて雰囲気を変えて左のシックなトーンで、大人の落ち着きのある空間を目指します。


こちらは使用するマテリアル達です。
最初のご提案から、一部の高い天井に使う素材を決めていたのでそこから波及していきました。
洋間ですが、全てどこかに和を感じる要素を意識しています。

そしていよいよWBC決勝戦!ではなく着工の日です。
工事は地元志免町で確かな技術と定評の(株)山崎工務店さんにご協力頂きました。

着工から数日であっという間にこの状態になりました。
ジュラクの壁が大変でしたが大工さん、あっという間の手際良さです。

 
押入横の筋交いと柱はジャッキで上げて抜き、その下に梁を足して補強をします。
その後、同じ向きの壁に筋交いを足して頂きました。


着工して十日でこの状態に仕上げて頂きました。
職人の皆様、ありがとうございました。

さぁこれから私たちの出番です!とすぐ施工といきたいところですが・・・
テレビボードでご提案していた壁面は空間が出来てから具体化されたいとのことで、再度ご提案をさせて頂きました。


ゲストルームやリラックスルームなど多目的なお部屋になるので、テレビは置かない方向で。
腰高の収納を設ける右下の案で製作させて頂くことになりました。


そして、完成しました。こちらはお部屋に入ったときの景色です。
タイルの縞模様と天井からの光にスーッと奥へと引き込まれるようです。
イメージ通りに仕上がりました。


どんな用途にも対応できるよう設え過ぎず、でも使用する素材それぞれにしっかり存在感と意味を持たせています。
床材は、ワンちゃんが滑りにくい加工を施した天然木の突板フローリングです。


ウォールナットの床に同じ材の家具では面白みがないので、セラミック調の素材を取り入れました。
合せる材によって和にも洋にも印象が変わります。
横の長さを強調したかったので、天板と台輪部分の両方に深い色を用いました。


カーテンも一緒にコーディネイトさせて頂きました。
グレー基調とゴールドの艶がシンプルながら華やかさも持ち合わせています。


入って左の以前エアコンが埋め込まれていた部分には、飾り棚を設けました。
飾られる陶器が映えるよう、背面はいぶし銀のようなタイルをセレクトさせて頂きました。


さりげなくゲスト用のコート掛けも仕込んでいます。
畳むと上のようにスマートに壁化する便利なフックです。


玄関ホールからの景色です。
純和風の戸襖をそのままに、違和感なくどう融合させるかが課題でした。
完成するまで不安でしたが、新旧の和のスタイルがお互いを引き立て合っているようにも見えます。
左の家具は、10年程前に製作させて頂いた玄関収納です。
長くご愛用頂いて感慨もひとしおです。


さて、広い空間ができたものの、どんなソファをどう置くかが難しいところです。
ご相談頂いたので、色々探してご提案させて頂きました。
普通の2人掛けや3人掛けのソファを一つ置くとそれでお部屋が決まってしまうので、どんなライフスタイルにも対応できるシステムソファをセレクトさせて頂きました。
変形の空間なので、壁に平行に置かず敢えてくずして置かれると変化に富んだ自由な空間になりそうです。
色もウォールナットと相性が良く、日本の伝統色のようなボルドーをアクセントにされると素敵です。
こちらはまだご検討中ですが、実際に拝見してみたいレイアウトです。

空間を広くおもしろくしたいというご要望でじっくりゆっくりご検討頂きました。
まだ未完成ではありますが、自由度は残しつつ、G様らしい個性が活きる空間になったような気がします。
ご家族の皆さま、引き続きどうぞよろしくお願い致します。

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