デザインコンパスブログ「ポッカポカ日和」

和を感じる、ニュアンスカラーのサイドボード

2023-4-25

I様のリビングに、テレビ台を兼ねたサイドボードを製作させて頂きました。

初めてお伺いした際、お話し頂いたご要望は、
・今はテレビ台を兼ねたいけど、将来はテレビを置かない予定
・機器類やその配線をスッキリ隠したい
・3人目のお子様のご出産前に、収納場所を確保したい
・ピアノを左右どちらに置いても収納の開け閉めに問題のないようにして欲しい
・お部屋に合いつつ、ちょっと和の要素もあって他にない感じにしたい
とざっくりですが、このような内容でした。


コンパクトなテレビ台を置かれていましたが、間口は4.4m。
端から端まで収納を設けるだけでもお部屋が随分広く感じられそうです。
梁の下でどんよりと影になっている壁面も気になるところです。

初回のご提案をさせて頂きました。

壁に対してバランスの良い高さで間口いっぱいのサイドボードです。
素材や引出しの場所など、あえて色々なパターンでご提案させて頂きました。
木目じゃない方が・・・、和柄を取り入れたい・・・、ルンバは別の場所に置く方向で・・・
ベースプランを基に、色々なヒントを頂きました。

もう少しイメージが湧くような提案を~ということで、パースを作成しました。
自動で立ち上がる3Dパースではなく、線で描いて素材を貼り付ける古風なパースです(汗)

中央に和の要素のある素材を用いることで、全面が同じ扉よりも空間が締まります。
上下の絵は同じに見えますが、上は天板だけ木目、下は天板と台輪を木目にした絵です。
ほんのちょっとしたことで、印象が変わります。
下の絵の方向で製作させて頂くことになりました。


製作期間を頂いて、いよいよ設置の日です。
コンセント類を移設しながら家具内に取り込む準備をしています。


本体を設置しました。
壁から壁まで隙間なくピッタリです。
ピアノの前の収納をギリギリ引出せる奥行きになっています。


天板は中央でジョイントしています。
奥に間接照明も入ります。


多少の柄のズレはありますが、フラットに美しく納まりました。


間接照明も点灯しました。
梁の影でどんよりとしていた壁面が、まるで日の出のように幻想的で特別なスペースになりました。


完成しました!
イメージ通り、スッキリと洗練された絶妙なニュアンスカラーのサイドボードです。
難しいカラーバランスでしたが、中央の和柄がアクセントの唯一無二なオリジナル家具になりました。


和柄の扉以外は、引出しになっています。
こちらはDVDの背表紙が見える高さ設定の引出し。


そしてその中に内引出しを設けています。
高さの要らない細々とした筆記具、通帳、保湿剤・・・等々、何かと重宝して頂けると思います。


下段は下から手を掛けて開ける引出しに。
閉めたときに美しく見えるように、上の扉とは違うフラットな扉です。
閉めるときは全て、ゆっくり閉まるソフロクローズ機能の引出しになっています。


和柄の扉内は、機器類が入っています。
配線が見えなくなっただけで気持ちが良いですね。
扉の裏が繰り抜かれている部分は、リモコンが通るような加工をしていますが・・・


扉を閉めると全く分かりません。
この和柄の扉だけ、柄方向が間違えて入荷したため後日のお届けになりました。
待ちに待って頂いた主役の扉です。


和柄以外の扉は、なめらかなレザーのような手触りです。
少しくすんだ木目の天板の組合せはベストメンバーでした^^
木目が強い床と梁に、このニュアンスカラーは少しチャレンジでしたが、完成してホッとしました。


サイドボードが設置されたことで、以前より幅広さの認識ができたせいか随分広く感じられるようになりました。
このブログを書いていて気付いたのですが、スマホのレンズが曇っていたせいで写真がぼやけています(泣)
意図せず更に幻想的に見えるでしょうか^^;

後日、I様が夜のお写真を送って下さいました。

昼間とは違う神秘的な雰囲気です。
お子様が寝静まった後の一人の時間、ご夫婦二人の語らいの時間、日々の喧噪から離れて疲れを癒してくれる時間が生まれると良いなぁと思います。
便利で快適な機能以外に、家具ができること。たくさん増やしていけますように。

Iさま、積極的に参加して頂いて、また楽しんで頂いて本当にありがとうございました!
これからも末永く、よろしくお願い致します。

和モダンなカップボード

2023-4-24

先週末、W様のカップボードを設置させて頂きました。

最初は、既製品の食器棚のサイトと共に「こんな感じで費用はどのくらいかかりますか?」というお問合せでした。
お会いする前に、W様の設置寸法とご要望に合った仕様でご提案をさせて頂きました。


吊戸棚と引出しともに縦格子の和を感じるデザインでしたが、既製品に比べるとやはり費用がかかります。
でも置き家具ではなくピッタリサイズで造り付けをご希望でした。
そこで、現在お困りな事や使用感などお伺いするために、実際に拝見させて頂きました。


天井は高いものの一部凹凸があり、作業台の高さや引出しの数(それぞれの必要高)、ゴミ箱の容量など、W様だけの仕様がありました。
既製品だとあるものに自分を合わせなければいけませんし、何より天井高や梁など設置状況に合わせることは難しかったと思います。


最終的には当初とは全く違う、右下の仕様で製作させて頂くことになりました。
天板高は1m15cm、引出しは5杯など、背の高いW様だけの仕様になっています。
デザインは、和モダン且つお部屋に合う素材で・・・とうことで、上部に格子を用いることになりました。

製作期間を頂いて、いよいよ施工の日です。

以前と冷蔵庫の位置を変えて、奥側に家具を設置していきます。


コンセントを増設しながら下台を設置しました。


冷蔵庫上にも吊戸棚を設置します。
天井が高いので、ここだけでもかなりの収納量が期待できそうです。


凹凸のある天井に合わせて隙間なく設置していきます。


完成しました。
格子扉が印象的な趣きのあるカップボードです。


下台はタモの天然木突板、吊戸棚はタモの無垢材を格子状にしています。
上下共に格子にする案もありましたが、リビングから見える上部だけに用いました。
細い格子にすることで、モダンなインテリアにも違和感なく調和しつつ、しっかりと和の風合いを感じます。


引出しもかなりの収納量です。
5段それぞれ、W様が収納し易い食器の高さに合わせています。
以前は奥のパントリーにしまわれていた食器も、これなら出番が増えること間違えなしです^^

 
ゴミ箱もスッキリ納まりました。ゴミ箱の容量に合わせて引出しの寸法を決めました。


引出しの木目を合わせた美しい納まりです。
取っ手の凹凸がないほうが・・・ということで、J型の引手加工が施されています。


吊戸棚を細格子にしたことで扉の境目が目立たず、全面が大きなパネルのようにも見えます。
よりスッキリ、幅が広く感じるようになりました。


W様だけの使い易さとこだわりが詰まった特別なカップボードになりました。
ほんのキッチンの一角ですが、このスペースが変わるだけでお部屋全体の気や物の流れが変わります。
お仕事でお忙しい日々も、キッチンに居る時間はちょっと気分が違う ♪
元気を充電できるような場所になると良いなぁと思います。

W様、この度は本当にありがとうございました。
これからも家具共々、お付き合いをよろしくお願い致します。

グレーのキッチンカップボード

2023-4-15

先日、M様のご新築マンションに合わせてカップボードを設置させて頂きました。
最初にお問合せ頂いた時点では、セミオーダーの既製品と迷われているとのことでした。

平面図を拝見させて頂くと、間口が2.48mとマンションにしてはかなり広い間口です(実際は2.5m超でした)。
既製品では2.4m迄で隙間が空くかフィラーで隠すことになるので、それはかなり勿体ないことです。
是非ともお役に立ちたいと思いました。

その後、素材のショールームと現地とでお打合せをさせて頂き、特に素材は真剣に悩んで頂きました。

上部の圧迫感解消の為に、一時は壁紙に近いオフホワイトで壁化させる方向で、壁パネルの色をご検討頂きました。
最終的にはやはりキッチンと同色のグレーで統一して、壁パネルは同じグレー基調で雰囲気のある素材で決まりました。

シンプルに見えますが、内部の有効高さや奥行きは全てM様仕様です。
間接照明も、この間口の広さをより活かす為に採用して頂きました。

製作期間を頂いて、いざ設置です。

図面の通り、間に小壁があります。


予め電気配線を行っています。


下台が付きました。


天板と壁パネルを一体化させています。


一体化させたことで、壁パネルを正面からコーキングする必要がなく、美しく仕上がります。


梁の下の吊戸棚まで、凹凸も隙間も無くフラットに仕上がりました。


完成です!
シンプルな中にも研ぎ澄まされた静寂さを感じます。


揃えられた引出しのラインがより奥行きを感じさせてくれます。


壁と天板の境目も、予め接続して設置したおかげでコーキングもなくスッキリしました。
天板のスイッチコンセントは白、壁のコンセントはグレー、それぞれ目立ちにくくしています。


ダイニングからの景色です。
扉の色をキッチンと合わせました。
それだけだと無機質で寂しい印象ですが、正面の壁に重きを置くことで、全く違った印象になりました。
幻想的な光が浮遊感を感じさせてくれます。
食後のリラックスタイムにゆっくり眺めながらホッと一息・・・家事プラスαの時間も楽しんで頂けたら嬉しいです^^


キッチンとは天板の高さも素材も異なりますが、そんなことは全く気になりません。
それ以上に、スッと奥まで伸びる掘込み引手と光のラインの美しさに心地良さを感じます。


冷蔵庫の上まで同じ素材で統一したことで、LDKの空間がよりダイナミックに広がりました。
当初予定されていた吊戸棚を明るい色で壁化する案も良かったとは思います。
でも全てグレーにしたことで、よりアクセントの壁が際立ち、リビングダイニングを大きく取り込んだ空間になりました。

ご入居に間に合わせるために少し急かしてしまいましたが、真剣に熟考して頂いた結果ご満足頂けて本当に良かったです。
オーダー家具は規格品のように実物を見て頂くことが出来ないので、皆さん悩まれます。
でも真剣に悩んで頂いた程、完成した時の感動と、お気に入りに包まれる満足度が大きいような気がします。

M様、短い間でしたがお付き合い頂きありがとうございました。
これからもどうぞよろしくお願い致します。

 

工場のあれこれ

2023-4-7

桜の花がまだ散り終える前でしたが、
初夏を思わせるような陽気だったのでちょっと海散歩に・・・。


澄みきった海とトトロの森(勝手に名づけてます)。
頭を空っぽにできるとっておきのパワースポットです。

さて、4月は材料の価格改定もあり、事前にご注文頂いていたお客様へ家具のお届けが続きます。
良い環境で良い物を製作する為に、昨年から少しずつ整えている工場の一部をご紹介します。
 
こちらは3m超のドデカイ扉。
工場のシャッターを開けると扉が無かったので、冬はずっと閉めっぱなしで配送も届かず・・・
冷暖房対策に急遽造りました。
 
造って早々、紫外線で建具が反りまくって大変でした(笑)
内部のようにはいきませんね。色々と細工をして落ち着いています。

  
細々とした金物もしばらくは行方不明でしたがスッキリしました。
整理整頓は私よりも職人高瀬の方が得意です^^;

 
階段も大事な収納スペースに。
物の居場所が出来ると探す必要がないのでよりはかどります。
せっせと造ってもらえそうです(笑)

 
貧相だったアオダモも葉が生い茂ってきて元気が出てきました。
色々なものにパワーがみなぎる時期、私たちも元気をお届けできるように頑張ります。

キッチンマジック!

2023-4-1

4月になりましたね。
春の陽気と解放感。満開の桜と瑞々しい植物に生命力を感じます。
エネルギーをいっぱい充電して新年度スタートしたいと思います^^

昨年カップボードを作成させて頂いたK様。
当初からキッチン横のスペースをもっと有効利用したいということでご相談頂いておりました(左)
  
家電置きで場所を取られて調理スペースが不足していました(左)
カップボードが出来て家電を移動出来てから(右)、再検討しましょうということで、時間をかけて何度かお打合せさせて頂きました。

改善点はまずはこの隙間。

まな板や盛付皿を置いて広く調理するには水やゴミも落ちてストレスになりそうです。


吊戸棚の影になって暗い事と、外に出していたゴミ箱やまな板の置き場も欲しいところです。


製作期間を頂いて施工当日。
まずは人工大理石横の埋め木を外して、この後一体化させたいと思います。


上部には照明用の配線と、レシピをスッと挟めるペーパーレールを仕込みます。


このペーパーレールと間接照明。
どうにか美しく納められないかと、職人高瀬が側面も形状に合わせて製作しました。


タイルも施工してこんな風にスマートにメモが挟めます。


引出しも全て、収納されるアイテムに合わせて高さ設定をしています。
右奥下はゴミ箱、左は根菜、調理器具等、K様仕様の充実収納です。


まな板の置き場所は当初からの課題でしたが、ロック式のスライドカウンターを設けました。
全開するとロックがかかるので作業台にもなります。
見せたくないけどかさばるまな板。これならサッと出し入れできそうです。


そして天板のジョイントは、こんなに美しく仕上がりました。
元々ある人工大理石の天板との隙間を樹脂で埋めて、削り合せしました。
何度も触りたくなるような手触りです。


以前はカウンターが無く、表に物が出ている状態でしたが・・・


キッチンとカップボード、どちらもカウンターが奥までスーッと伸びて随分広くなりました。
お料理上手なK様にとって作業台が少ないことが一番のお悩みでしたが、下ごしらえ→調理→盛付けに充分なスペースを確保出来ました。
時間をかけてお付き合い頂きましたが、その分K様の使い易さとお気に入りがつまった特別なキッチンになりました。

K様、昨年から充実したお時間を頂きありがとうございました。
よりワクワク楽しいお料理タイムになりますように^^

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