デザインコンパスブログ「ポッカポカ日和」

大型スクリーンを組込んだテレビボード

2020-6-8

先月施工させて頂きましたMさまのテレビボードをご紹介させて頂きます。
初めてお伺いした時のMさまのご要望は、「とにかくカッコ良くしたい!」でした。
広いリビングに幅2mのテレビボードと75インチの大きなテレビを設置されていて、設置面にテレビの電源が無いこともお悩みの一つでした。

テレビの電源は、壁の裏側の洋室から増設することにして、工事の具合で3プランご提案させて頂きました。

上から下にいくにつれて、電気配線や下地補強など段々と大掛りになっていきます。
下はシンプルですが、補強のために壁を開口するので、壁全面のクロス工事が必要になります。
お話しをしていくうちに、もう少し変化が欲しいとのことで、周辺の造作も含めてご提案をさせて頂きました。


リビングを入ってすぐ左に家具が突出するので、高さを抑えたPLAN2で製作予定でしたが、直前にホームシアターのご相談を頂きました。
スクリーンを天井の中に埋め込むには大掛りで電源も必要です。
スクリーンを使用していない日常も美しく見せるために、家具の中に組込むことになりました。
120インチの投写面がテレビボードの上でピッタリ納める為に、図のようなバランスで製作させて頂きました。


施工当日。壁の裏側のお部屋からテレビの電源を増設して、壁掛けテレビの下地補強と配線ルートも万全です。
ちょっといびつな形状のテレビボードですがこれから組み立てていきます。


テレビボードの両サイドにゲート状になる柱を設置しています。


天井すれすれで上部を乗せました。スクリーンが組み込まれる部分が空いています。


ゲート状の素材は単色の白ではなく、和紙のような素材感のあるメラミンを使用しています。
間口4.2m、天井高さの巨大なゲートの圧迫感を解消するための色使いですが、マットで上質な素材感を使用することで高級感が増しました。


スクリーンを組込む部分は、設置がしやすいようフラップ扉に。
もちろん閉めるとそこが扉とは全く分からない仕掛けです。


タイルと間接照明も施して、完成しました。
大きなゲートもテレビボードをダークな色で引き締めることで、心配していた圧迫感が解消されました。
程良いインパクトの中に、爽やかで上品な印象を受けます。


リビングに入ってすぐの視線。
突出している黒いテレビボードに目がいくので、天井までのゲートの圧迫感は感じません。


そしてスクリーンを降ろしてみました。
120インチの巨大なスクリーン。テレビボードの上でストップすると調度、投写面がきれいに見えました。
この投写面から逆算してゲートの高さを設定しています。
スクリーンがなければゲートの高さをもう少し下げたバランスにしていましたが、結果ダイナミックな空間になったような気がします。

設置後、Mさまからお写真を送って頂きました。

福山雅治がまさかこんなサイズで!!
スクリーンに突進したくなりそうです(笑)
プロジェクターもMさまとお話ししながら機種を決めて頂いたので内心心配でしたが、この映像を見て安心しました。
「ライブや映画館に行かなくても充分ですねー」とお話ししたら、
「それとこれとは別です」だそうです^^;恐れ入りました。

Mさま、この度はご相談頂き本当にありがとうございました。とっても楽しい時間でした^^
今後ともどうぞよろしくお願い致します。

白黒コントラストが美しいカップボード

2020-5-18

T様のカップボードをお取付けしました。
3年程前のご新築時に一度プランをさせて頂いておりましたがライフスタイルの変化もあり、時期を改めてお声掛け頂きました。
数年住まわれてイメージがクリアになったとのことで、当初のプランとは全く違うデザインで製作をさせて頂きました。


設置スペースです。左右の壁の奥行きが違うので、左の壁に合わせて製作しました。


コンセントの増設をしながら設置していきます。


本体を設置しました。白と黒の配色が目新しく感じます。
収納内部の配色もT様のこだわりでした。


完成しました。白と黒のコントラストが美しいスッキリとしたカップボードです。
キッチンとリンクさせるために随分悩まれた配色でした。


ダイニングから見ると、天井と扉の裏側の黒がポイントのキッチン。
当初は同じように黒のラインを効かせてリンクさせる予定でしたが・・・。

配色と同じく悩まれたのは、扉を開け閉めする際の手掛けでした。
キッチンは全て扉の隙間に手を掛けて引出す仕様のため、引出す力が要ります。

シンクやガスコンロ下の大きな引出しはかなり重たく、一日に何度も開閉する動作は気付かないうちにストレスになっていたようです。
打合せ中にT様から「指の甲にタコができるんです」と聞いて、これは避けなければと思いました。


黒のラインを強調するためのご提案を色々とさせて頂きましたが、最終的に白い引手で扉と同化させることになりました。
ずっと黒にこだわられていたので設置するまで少しの不安はありましたが、設置後に白にして良かった!との感想を頂いてホッとしました。


右側のトールキャビネットは、扉を開けると黒。少し気持ちが違います。


ちょっとしたペンや付箋、輪ゴムなどの小物収納が隠れています。


黒い引出しにはカトラリー類など。一つあると便利です。


カップボードにしては引出しの数が少ないのでは?
でも内部に内引出しが入っています。
高さ設定もミリ単位でこだわって頂きました。一番奥には炊飯ジャーが入ります。


爽やかで清々しいカップボード。
艶のある白とマットな黒のコントラストがより洗練された印象を受けます。
ご入居前にはイメージでしかなかったものが、生活されてみてより良い理想に繋がって本当に良かったです。
T様、この度はお声掛け頂いてありがとうございました。
今後ともよろしくお願い致します。

組子細工とテレビボード ~お届けしました~

2020-5-6

以前ご紹介させて頂きましたIさまの組子細工とテレビボード
なかなか更新ができずお届けから1ヵ月が経ってしまいました。
Iさま、その後いかがお過ごしでしょうか?
ご紹介をさせて頂きます。

仁田原建具さんにお願いしておりました組子細工を引取りに大川まで伺ってきました。
図面化していたのものが形になるのは家具も同じですが、組子細工はそれとはまた違う感覚を覚えます。
その繊細さと感動で溜め息が出るほどでした。

地組の三角形は濃い杉。地組のりんどう形は薄い杉。5つのりんどう形は桧。
そしてその中心は二重麻の葉と亀甲模様で変化をつけて・・・。仁田原さんからご提案頂きました。

テレビボードのウォールナットとリンクして、どこかにウォールナットを・・・とお願いしていたらこんな素敵な入れ方をして頂きました。
2番目と4番目のりんどう形の中心にさりげなく入っています。
まるで万華鏡のようでいつまでも見ていられそうです。

造り手と二人で組子を眺めながら似合うベースについて話し合いつつ製作を進めて・・・完成しました。

お手持ちのスピーカーに合わせてウォールナットでシンプルに。
シンプル過ぎても深みが欠けるし、民芸調のような重たさは避けたい。
ほんの少し天板に装飾を施して、組子とのバランスを工夫しました。

そしていよいよお届けの日です。

両サイドのスピーカーや内部の機器類を行き交う配線を極力隠すため、壁際に配線スペースを設けました。
扉を付けてしまうと配線が大変なので、この状態で機器類を入れて頂きながら配線も繋いで頂きました。


そして機器類がこんなに入りました。
トランス、ミキサー、アンプ、コンバータ・・・盛りだくさんです。
組子を活かすための間接照明でしたが、機器類の設置や配線がしやすいことに気付きました。
テレビボードには演出の用途でしか使用したことがない間接照明でしたが、機能面でもあると良さそうです^^


そしてこんな風に仕上がりました。組子が主役のテレビボードです。


スピーカーと一緒に製作したかのような一体感を感じます。
今では手に入らない海外製の歴史あるスピーカーと日本の伝統工芸である組子細工の融合。
というと大袈裟かもしれませんが、佇まいに誇りを感じます。


どの角度から見ても違う表情に見えるのも組子細工の魅力かもしれません。


夜でも暗い日でも、組子を楽しんで頂けるように調光と調色機能がついた間接照明を組み込んでいます。


色々なシーンを楽しんで頂けたらと思います。


Iさまに引き寄せて頂いたご縁で、たくさん勉強をさせて頂きました。
不慣れで随分お待たせしてしまいましたが、快くご依頼して頂けたことに心から感謝しております。
Iさま、仁田原建具様、この度は大変お世話になりました。
今後とも末永くお付き合いをよろしくお願い致します。

 

物づくり、いろいろ

2020-4-23

監督さん10歳の誕生日に、去年おばあちゃんからもらったドールハウスキット。
海辺のコテージのようなインテリアが素敵でこっそりリクエストしたものでしたが・・・あまりに難易度が高くて押入でスタンバイしていました。
これこそ今だからできること!3人で真剣に作ってみました。

なぜ尻込みしていたかというと、まず説明書。日本語が一つも見当たらないので絵で読み取るしかありません。

そして、かなり作り手まかせな材料。
このキッチンの壁にかけるS字フック達は1本の針金しか入っていないので、ラジオペンチで曲げて形にしていきます。
監督さん、なかなかの出来です。

ベースの壁が出来ました。壁紙や床もカットしてスプレー糊で貼るので本当に内装工事をしている感覚です。
奥のキッチンのシンクも1枚の紙から、ゴールドの蛇口も1本の針金から形にしました。

そして丸2日かけてついに、完成しました。

どうでしょうか。かなり本格的なインテリアです^^


天井に露出配線した電気も点きました。シャンデリアももちろん1本の針金から、緻密な作業でした^^;
こうして近づけて見るとまるでアリエッティの世界です。(←人間の道具を借りて生活する小人のお話しです)


シャワールームも素敵です。
かなり作り手任せで価格も安いキットでしたが、こんなインテリアの発想は日本製にはないかもしれません。
壁のタイルも貼り分けてあったり、小さなアイテムにセンスが感じられます。


勾配天井にトップライト、雲の壁紙にブルーの書棚、好きなアングルです。
1枚の布を切って綿を入れた枕、テーブルランプ、ベッドメイクも本物を作っているようでした。
子供の頃に入り込んだ世界観がいつかの糧になってくれたらいいなと思います。

ただ今、お問合せ後のご提案はメールでのやりとりとさせて頂いております。
現在製作中の家具の施工とお届けは来月以降にお願いをしておりますのでご了承ください。
公私共になかなか出来ないことが多い日々ですが、いま出来ていることに集中してプチハッピーをお届けできたらと思います。
今まで特に気にしなかったことに気付ける日々。頑張りましょう。

造作ならではの家具たち。

2020-4-8

昨年お問合せ頂いて、ご提案させて頂きましたK様の家具をご紹介致します。
中古のマンションを購入されて、ご入居前の家具の設置とのことでした。
内装を拝見するまでは、おおよその寸法などK様から頂いた情報を基に想像でのお打合せでした。

テレビボードを設置する幅は約5m。
上の図は現地写真を拝見する前の初回のご提案です。
5mのテレビボードに間接照明をつけてタイルを・・・というご要望でした。
下の図は現地写真を拝見してからのご提案です。
実際は梁がかなり低いところまで下がっていて、5mもの間口だと余白が多過ぎるので縦に間接照明を入れたプランです。
下のプランで製作させて頂くことになりました。


事前に現地採寸後、製作期間を経ていざ取付の日。
右側にしかなかったコンセントから中央と間接照明の位置に配線し、キャビネットを設置していきます。


キャビネットの天板も1mmの隙間もない状態でピッタリ納まりました。
その上にテレビ背面の下地を造っていきます。
元々下地が入っていない壁でしたので、壁掛けテレビの取付や配線をする為でもあるフカシ壁です。
間接照明の光がこぼれる調度良い距離で造作しています。


2日目にタイルを貼って完成しました。
マンションで5mの幅はなかなかありません。圧倒されるスケール感です。


消灯するとこんな感じです。
テレビ面の壁は厚みの部分までタイルを貼り込むことで、見える印象が随分変わります。


点灯するとこんな感じです。
あえてテレビ面はシンプルに、その奥のタイルは光の陰影が映える凹凸感のあるタイルでメリハリをつけています。


元々ウォールナットをご希望でしたが、現地に伺ったときに床のタイルに映えるようダーク系で引き締めましょうということで、着色ウレタン塗装で仕上げています。


テレビを付けるとこんな感じでしょうか・・・。(テレビ画面はイメージです^^;)
大きく下がっていたシャンデリアもスリムな照明に変わって随分お部屋が広く感じられるようになりました。

そして、ダイニングテーブルも設置させて頂きました。
当初はキッチンの腰壁に対面してテーブルの造作をご希望でしたが、インターホンが動かせず断念。
置くタイプのテーブルをシーンに合わせて向きを変えられる方が・・・ともお伝えしましたが造り付けで収納もご要望でしたので、下のような形状で製作させて頂きました。


そして照明も悩ましいところでした。
天井がコンクリートなので電源を移設できず、またダクトレールを使用しても微妙な位置でしたので、色々な器具をご提案をさせて頂きました。


施工当日。何やら看板のような出で立ちの家具ですがどうなるでしょうか。


こうなりました。なかなかない形状ですね^^
リビングからの動線を妨げない丸い形状は、お孫さんが来られたときの危険回避と、丸い部分に二人座ることもできます。
テーブル下の空間は、カトラリーケースやランチョンマットを収納できて両面に6分割あり重宝して頂けると思います。
ガラス扉の下は、コーヒーメーカーや電子ポット、扉の中にはグラス類が収納できます。


リビングから見るとこんな感じです。照明の電源がテーブルの中心から離れているので、こちらの照明をお勧めしました。
コンパクトですが、天井面にダクトレールなども付かずいろいろな位置やアングルが自由自在に変えられます。


天板はマットなレザー調のメラミン化粧板、木部はウォールナットの無垢材です。
お手入れに気を使うこともなく、単色を用いることで木目も映える効果があります。
全て木目で仕上げるよりも、重たくなくこなれた印象になったような気がします^^

現地を拝見するまでとその後も、実物がないものを想像するのはなかなか難しかったかと思います。
K様、色々と大変お世話になりました。
またお引越し後のご感想を頂けると嬉しいです^^

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