空間に溶け込む家具
2017-12-25カテゴリー お仕事日記
秋に施工させて頂いたIさまより、ご入居後しばらくしてご相談を頂きました。
以前使用されていたローテーブルが空間に合わず、どんなラグとテーブルが合うか分からないとのことでした。
床や壁、家具の木色、壁のディスプレイなど、派手な主張はしていないものの
テイストが限られていないようで限られていて・・・確かに仰る通り難しいです。
ライト系・ミディアム系・ダーク系の代表的な木色の家具では浮いてしまうし、
グレイッシュトーンでも形によってはモダンな印象に偏りがちです。
形状より先に色柄で悩みました。
そして悩んだ末の素材がこちら。
右が既に空間に取り入れている色柄で、左が今回採用したいと思った素材です。
ブルーグレーの壁紙がIさまのお気に入りでラグもその系統をご希望でしたが、同系色だとどちらも映えなかったので、どの植物柄にも合う亜麻色のラグをセレクトしました。
そして同じく亜麻色の化粧板と、淡いブルーが入った紙布をポイントにしたテーブルにしたい!
それだけ先に決めてからの構想が長かったです。
普段使いと拡張したとき、両方を美しく見せたくて、
ハーゲンダッツのクリスピーサンドのような形で、クリームの部分が回転して拡張したり・・・
マッチ箱のように、周りのフレームがスライドして拡張したり・・・
スケッチブックに色々な妄想を描きましたが、拡張するときの所作が美しくなかったり、
強度と使い勝手に問題があったり、どこか腑に落ちず降りてくるまでにずいぶん時間がかかりました。
そしてようやくこんな形になりました。
小さなつまみを引き出してその上に天板を乗せて拡張するテーブルです。
反対側は中がオープンになっているので、リモコンや雑誌を入れるスペースにできます。
片方のつまみを引き出すと、天板2枚が一緒に出てきます。
そして引き出した二つの箱の上にそれぞれ天板を乗せて、
大きく拡張される形です。サイドからちらりと見える紙布がポイントになっています。
果たして空間に合うのかどうか、多少不安ではありましたが・・・
無事納まりました。
テレビボードのデザインと素材やつまみが程よくリンクして良い雰囲気でした。
テレビボードでご提案していて使用できなかった網代(竹を編んだ素材)でしたが、それに似た紙布を使用させて頂けて嬉しかったです。
天板は白でも木目でもない近くで見ると布のような質感のメラミン化粧板です。
拡張しても品良く主張し過ぎることのないデザインです。
テーブルの角張った形状を和らげる為にラグを円形にして正解でした。
写っていませんが、照明の形状とリンクしていて調和が取れていて素敵でした。
ご提案できるまでずいぶんお待たせした上、先週末の夕方バタバタと納品をさせて頂きました。
自由に発想させて頂いて、また受け入れて頂いて、本当に感謝しております。
どこにもないIさまだけのテーブル。
クリスマスやお正月、たくさん使って頂いて可愛がって頂けると嬉しく思います。