デザインコンパスブログ「ポッカポカ日和」

組子細工とテレビボード

2020-1-19

昨年8月にテレビ台のお問合せを頂いたI様。
リビングのお写真やオーディオ類の情報を頂いて、ご参考図面を作成させて頂きました。

ですが、初めてお伺いした日。
そのベーシックなご提案とI様が望まれているものがかけ離れていたことに気づかされました。


オーディオに精通されているI様。
歳を重ねるに連れて工芸品に惹かれるようになったそうです。
そこで、テレビ台に組子細工を取り入れたいとのことでした。
当然組子という言葉は知っておりますが、どうやって作られているかなど殆ど無知の私。
I様が取りためた組子のスピーカーカバーの写真など拝見させて頂きながら、はぁ・・・とお返事するのが精一杯でした。
今では手に入らない、そして聞く機会も中々ないスピーカーで最高の音を聴かせて頂いて、ご期待と大きな課題をたくさん持ち帰らせて頂きました。

さぁどうしたものでしょう。
まずは組子職人さんに頼らなければということで、大川の仁田原建具製作所様に相談をさせて頂きました。
I様のご希望の素材はスピーカーと同じウォールナット。
後々スピーカーカバーにも組子を取り入れたいと伺っていたので、下のようなイメージのものが出来るかどうかお尋ねした記憶があります。

ですがこれは旋盤機械で作られたもので手工業の組子とは違うとのこと。
組子ド素人の私に詳しく教えて頂いて、電話だけでお人柄と組子への情熱を感じました。
仁田原さんのお誘いで、I様と一緒にショールームを見学させて頂くことになりました。


最初に目に入った作品からわぁ~と何度言ったか分かりません。
緻密で繊細な組子の作品を間近で拝見して、本当に溜め息が出るほどでした。
たくさんの素晴らしい作品がある中で、中央の満月を彷彿とさせる作品に特に魅了されていたI様。
テレビ台にどう取り入れたら良いものか全く答えが出ないまま、また大きな課題を持ち帰らせて頂きました。

これから私の迷走が続きます。
ウォールナットベースのテレビ台に和の要素の組子とスピーカーをどう合わせたら良いものか、
幾何学模様ではなく、何かを彷彿とさせるデザインを取り入れるには・・・
キャンパスと同じようにベースとなる三つ組手(みつぐて)という組み方を教えて頂いて、それに鉛筆で描き入れてみることにしました。


何か変わったことをしなければという気負いと果たしてお部屋に合うのかという不安。
正直自信がないまま、I様のお好みやご意見を聞きだす材料としてお送りしましたところ、①のりんどうというお答えだけ頂きました。
消去法での①だったのかそれとも①!だったのか・・・いつかお伺いしてみたいと思います^^;


テレビ台全体のイメージの確認として、失礼ながら組子の写真を貼り付けさせて頂きました。
お色味や質感をよりイメージして頂きたかったのですが、サイズ感や縦横向きもバラバラです。

仁田原さんにりんどうの花模様をベースに具体的な図面を描いて頂いて、ようやくまとまりました。


最終的に5つのりんどうの花がポイントになった組子の扉。
同じデザインでも、使う樹種の色味によってまた違った印象を受けます。
一番右に近いイメージで製作して頂くことになりました。
これなら和にも洋にも、ウォールナットにも馴染みながら良いアクセントになりそうです。

製作に至るまで随分長い間お待たせしました。
そして、一流の職人さんとのご縁をつくって頂いて本当に感謝しております。
お客様から与えて頂いた機会を大事に成長していきたいと思います。
I様、仁田原さん、いよいよこれからワクワクしてます^^
どうぞよろしくお願いします!

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