暑中お見舞い申し上げます。
2015-7-30カテゴリー ポッカポカ日和
カテゴリー お仕事日記
4月にN様より、テーブルのご相談を頂きました。
それはご新築のため、古い家屋を解体した時に取っておいた床の間板と欄間を使って、新しいテーブルを作ってほしいとのことでした。
早速材料をお預かりに伺いました。
こちらは床板です↓
塗りつぶしに近いところまで塗装してありましたが、松でしょうか。
こちらを天板に・・・なかなか難易度が高そうです。
そしてこちらは欄間。
天板とこの欄間を利用してテーブルにどう取り組むか。
いろいろと考えてご提案させて頂きました。
2プランのうち、2番目のプランをベースにお作りすることになりました。
といっても、天板を削ってみないことには色や材料のイメージがわかないので、天板の裏面を試しに削ってみました。
削ってみると、予想以上におもしろい板目が出てきました。
ずいぶん荒々しい木目ですが、良い表情が出そうです。
手垢留めのオイルと、着色が入った塗料を塗ってみましたが、素材が強すぎてどれも同じに見えます。
工場までお越し頂き、削られた状態と塗装した状態とを実際に見て頂いて、クリア塗装を施すことになりました。
最終的には、シンプルな形状で決定しました。
欄間は厚みが薄いので、裏にホワイトアッシュの白木を貼って模様が際立つようにさせて頂く予定です。
毎回作ったことがないものをお作りしているので、こちらも出来上がるまでワクワクとドキドキが半々です。
想い出に残るご家族の大事なテーブルになりますように・・・。
心を込めてお作りしたいと思います。
カテゴリー 日記
数年前からお世話になっているN様より、大切な椅子生地の貼替えのご相談を頂きました。
その椅子は長年、本当に貴重なアンティークの数々と共に過ごされてきたN様にとって、とても大切なコレクションの一つでした。
お聞きすると、19世紀のイギリスで作られたもので、生地の中身は馬のたてがみだけで成形されているとのことでした。
19世紀のイギリス、私にはせいぜい映画で目にするような貴族の生活を想像するくらいしかできませんが、当時から存在するこの椅子のストーリーを想像するだけでも本当にわくわくします。
何度も椅子貼り専門の職人さんとやりとりをしながら、ついにお預かりすることになりました。
とても美しいフォルムです。
現代の技術でもなかなか手仕事で作ることは難しいかと思います。
しっかりとした造りで、傷んでいるのは生地だけでした。
少々ためらいながらも生地を開けてみると、中には黒い馬のたてがみがつまっていました。
これまで二度ほど生地の貼替をされたということで、表面の白い綿は二度目の貼替のときのもののようです。
当時、馬は身近な乗り物だったのでしょう。
たてがみは熱湯消毒をして使用されていたそうです。 そんな背景をお聞きするほど気持ちが高まります。
そして、無事に貼替をさせて頂くことができました。もちろん中身はそのままに・・・。
生地はイギリス人デザイナー、ウィリアムモリスの代表的なザクロ柄の作品です。
とてもやさしい色使いですが、椅子自体の存在感を惹き立てる絶妙なバランスで、お部屋がしあわせな空気に包まれるようでした。
普段なかなかお目にかかることができない形あるもの、だけでなく当時のお話をお聞きすることができて本当に楽しいひとときでした。感謝の気持ちでいっぱいです。