デザインコンパスブログ「ポッカポカ日和」

木・石・光・・・素材がつくるリビング空間

2020-11-19

完成後、2ヶ月以上も経ってしまいましたがN様のリビングをご紹介致します。

以前は下台のみの造り付け家具が置かれたリビングでした。
手前に間仕切り建具があり、ダイニングキッチンとも仕切られた別の空間のような印象でした。


着工後、寝室からリビング、ダイニングキッチンまでひとつながりにフローリングが貼られただけで随分空間が変わってきました。


当初はソファーの配置からテレビ画面を左に寄せて横のラインを意識したご提案でしたが・・・
お打合せを進めるうちにホームシアターのお話しがあり、スクリーンをどう組み込むか改めてご提案させて頂きました。

上はスクリーンを家具ではなく天井に組込むパターン、下は家具の中に組込むパターンです。
ソファーからスクリーンの距離と、テレビ画面の高さ設定から下のプランで製作することになりました。

ご発注頂いてから一番悩んだのは色です。
ウォールナットの天然木の床に調和する壁面の石は最初にすぐ決まったものの、それに合う家具の扉をどうするか。

左上が石のサンプルです。
荒々しい石に調和する木目が活きた家具にしたかったので、木目の道管に黒を入れて(目黒塗装)その上に着色しています。
最近はフローリングなどで道管に白をいれた目白塗装はほっこりした雰囲気で人気がありますが、黒を入れることもあります。
石の明るい部分に合わせると右下のグレーになりますが、その上の色も塗りつぶし感が出て何となく安っぽい印象でした。
当初のイメージとは違いましたが、左側の茶系に寄せた重厚感のある色味で即決!
したわけではなく・・・最後まで半信半疑で塗装屋さんをずいぶん困らせました^^;
どうか良い雰囲気で仕上がりますように。


取付けの日。下台から設置していきます。
予め、スクリーンの電源や壁掛けテレビの配線孔など、必要な場所に電源を設けて頂きました。


カメラに納まらなかったので広角で大袈裟なアングルですが、余計な継ぎ目が入らないようにゲート状に組込んで設置してきます。


本体が納まりました。石を貼るまで家具のグレー具合が気になるところです。


2日施工の末、完成しました。
最後まで気になっていた色味も、床のウォールナットと石のグレーを調和する落ち着いた風合いに納まりました。


ダイニングキッチンともつながり、深呼吸したくなるような心地よい空間になりました。
上質な木とそれに見合うダイナミックな石の風合い、柔らかな光。
ここにいるだけで森の中にいるような穏やかな気持ちになるから不思議です。
特別なデザインはしていませんが、素材そのものが引き立て合っているような気がします。

以前ご紹介できませんでした、寝室のベッドからの一枚です。

ベッドのヘッドボードも落ち着いたグレーのファブリックをボタン締めして製作させて頂きました。
エレガントでクラシカルな寝室と、ダイナミックでモダンなリビング。
テイストの違う空間ですが、上質な素材によって一つに調和しているようです。

お忙しい日々の終わりに、ほっと一息安らぐ場所になっていると嬉しく思います^^

読書の秋 ~最始動です~

2020-11-4

先月は諸事情のため、充分な対応ができず大変ご迷惑をお掛け致しました。
特にメールのトラブルがありましたことお詫び致します。

しばらく搬入と施工は現場スタッフの力を借りて対応させて頂きます。
設計デザインは今まで以上に頭と心をつかってご提案したいと思っております。
どうぞよろしくお願い致します。

読書の秋ということで、入院中に出会いました本を2冊ご紹介させて頂きます。

なぜか2冊とも黄色。たまたま書店で手に取った本です。
(ニコニコしているのは娘からのお守りです^^)

左はブレディみかこさんの「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」
後で知りましたがメディアでも多く取り上げられている話題作なのでご存知の方も多いかもしれません。
著者自身や息子さんがぶち当たるイギリスでのリアルな体験を、オブラートに包まずにストレートに伝えてくれる本です。
人種、貧富、宗教、性・・・子どもの頃から突き付けられる格差の現実に親子でしっかり向き合っていく強さ、そして根底にある思いやり。
正解のない世の中でどう生きていくか、読んだ後もじわりじわりと考えさせられる本でした。

右は末永幸歩さんの「13歳からのアート思考」
これはタイトルだけで早く読みたい!と思った本でした。
子供の頃は自由に描いていた絵が、大人になるにつれて仕事のパース以外自由に描けなくなった実感。
娘が9歳の頃の授業参観で貼りだされている絵がみんなよく似ていて、描き方指南があると聞いたときの違和感。
小中学校まで大好きだった図工が高校生になると急に苦手になった経験。
いろいろなことが読むにつれて「なぁんだ肩肘はらなくて良かったじゃん!」と同時に、囚われている物の見方や価値観にも気づかせてくれる本でした。
なんでこれがアートなん?と全く分からなかった境界線ですが、境界線なんかむしろ無く、どう感じるかどう表現するか・・・。
自分なりのものの見方で自分なりの答えや価値を生み出せれば、作品という形はなくても一人のアーティストなんだと。
深く掘り下げていく生き方そのものなのかなぁ。
情報だらけの世の中を生きていく指南書になりそうです^^

 

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