デザインコンパスブログ「ポッカポカ日和」

ワークスペースの収納家具

2021-10-29

10年以上お世話になっていますH様の事務所移転に伴い、収納家具を製作させて頂きました。
当初は図面だけ頂いて、平面図上のレイアウトと、どのくらい収納量が確保できるか図面でご提案をさせて頂きました。


上の段が最初のご提案です。
充実した壁面収納と常時勤務されるお二人のデスクをご希望でした。

実際に現地にお伺いしてみると、キッチン側の奥行きが図面より狭かったので、南側の快適なスペースにデスクを設けることで計画変更させて頂きました。
図面の下段のレイアウトで具体化して製作をさせて頂くことになりました。
図面上のAとBは背の低い収納家具で空間を仕切ることができ、壁側に移動すると空間を広く利用して頂くこともできます。


もう一つ、H様がこだわられたのが素材です。
通常オフィスの家具でしたら強度の面でメラミン化粧板で製作させて頂くことが殆どですが、天然木をご希望でした。
住宅のように一生使えて、その空間に居て心が満たされるようにとのことで、大変大変嬉しく思いました。
不特定多数の人が使うオフィスや店舗の家具はなかなか大事にされることが少ないのですが、ここまで大事にして頂けるなんて!造り手冥利に尽きます。
仕上げの塗装もラッカーではなく長持ちするウレタン塗装にて、無垢材のデスクは傷がついてもメンテナンスが可能なオイル塗装にて仕上げさせて頂きました。
写真は無塗装の状態です。


全集中の製作期間を経て、いよいよ施工の日です。
エレベーターに入る割付けにて家具を搬入して、現地で組み立てていきます。


無事、一台目が取付きました。
3スパン共に棚の幅を揃えているので、足したり引いたり自由に差し替えが出来ます。


家具で埋め尽くされた中、一つ一つ取付いていく様子は毎回ワクワクします。


長手方向です。家具が取付いてしまうとコンセントが利用できなくなるので台輪に移し替えています。


無事本体が取付きました。出窓のカウンターや梁の下もピッタリ隙間なく埋まりました。


一番よく使用されるファイルの奥行きにジャストで合わせた壁面収納です。
引戸の場合、閉めた時にフラットにならず戸厚も2枚分余計に必要になるので、奥行きを最小限に抑えています。
これから引戸を取付けていきます。



あれ、ミニオン!?一つ目だからスチュワート?
すみません・・・遊び過ぎました。
一台目の取付けからミニオンが頭から離れず大変でした(笑)


引戸の金物は、下にV溝をつけて戸車が付いたものなどたくさんありますが、埃が溜まりやすく摩耗もしやすいです。
そして部屋を仕切る通常の引戸建具と違い、家具用の引戸金物は精度が高くそれ以上にコストも高いのですが、
日々の使い勝手と耐久性から、下に溝や戸車がいらない吊戸で製作させて頂きました。
やはりミニオン、良い仕事をしてくれます。(笑)


完成しました。ハードメイプルの突板を使用した壁面収納です。
モダンな白い床でも、木目が主張しない明るいハードメイプルは好相性でした。


図面通りのレイアウトで。
ハードメイプルの収納家具にチェリーのデスクがアクセントになりました。


圧迫感なく空間を仕切ることができる程良い高さの収納です。
オープンスペースにはシュレッターが、可動棚にはコピー用紙やモデム等がスッキリ納まる予定です。


デスクに座るとより一層プライベートな空間に感じられて落ちつく高さです。
収納家具の背面をハードメイプルで仕上げているので気持ちが違います。


違うレイアウトでもセッティングしてみました。
隙間なくピッタリ納める壁面収納と、フレキシブルにアレンジできる腰高収納。
どちらも収納する物の居場所(目的)がしっかりされているので、整理整頓しやすく快適なワークスペースになっている気がします。


長手方向が見通せて、風通し良くあたたかい木に囲まれたワークスペース。
なかなか無いと思います。
お引越し後の様子をお伺いすると、スタッフの皆さんここに住みたい!と仰られたそうで本当に嬉しい限りです。
家は心と身体を充電する場所だと思っていますが、オフィスもそうなると日々の気持ちが違ってきそうです。

良い気がめぐってますます運気が上昇しますように・・・。
ご活躍をご発展を心よりお祈りしております。
H様、この度は大変お世話になり本当にありがとうございました!

キッチン空間のイメージチェンジ

2021-10-21

N様のキッチンを新しくリフォームさせて頂きました。
といっても、完全に新しくさせて頂いたのはカップボードです。
キッチンのベースはそのままに、扉と壁面を新しくして全体のイメージチェンジをさせて頂きました。


L字型のコンパクトなキッチンです。
人工大理石の天板の取替えはなかなか大変ですし、食洗機を組込んだりシンクを大きくしたり等の機能面での変更が寸法的に出来ませんでした。
そこでキッチン側は扉とタイルの壁面を新しくして、気持ちがUP↑するキッチン空間を目指します^^


カップボード側は、レンジがギリギリ乗る限られた奥行きです。
ガスコンロ側の奥行きは更に狭まっていて、入口近くの寸法で製作するとガスコンロ横の扉が開かなくなりそうです。
そして手前に大きく下がった梁も・・・空間を最大限に利用したいと思います。

工事は3回に分けて入らせて頂きました。
まず初日はカップボードの設置です。

ガスコンロ側は少し奥行きを控えて製作しています。


でもそんな違和感を感じさせないよう、天板は美しく滑らかなラインで枠ギリギリに納めています。


吊戸棚の設置も、現場の状況に合わせた造り方をしています。
手前に大きく下がった梁に合わせて、高さの違うキャビネットを分割して設置していきます。


カップボードが完成しました。
吊戸棚を分割して設置したはずですが、その後に化粧材を一枚貼り付けているため、普段見えない底面ですが全く継ぎ目が見えません。
ダウンライトも点いて美しく納まりました。
そして、キッチンの下台の扉も新しく変わっています。
段々とテンションが上がっていきます^^


その後、一期工事でキッチンの吊戸棚を撤去しました。
下地の状況を把握して美しく納めるには、撤去をしないと製作寸法が出ません。
しばらくご不便をお掛けしましたが、この状態で採寸して製作期間を頂きました。


そして、二期工事です。
キッチンの吊戸棚を設置しました。
継ぎはぎになっているタイル面には、調味料棚を取付けるための下地を入れています。


最後の三期工事。
レンジフードを一旦外してキッチンパネルを施工していきます。
タイルの上から施工が出来ますが、凹凸や歪な形状に合わせて加工するため時間もかかります。


ようやく完成です。
真っ白なパールトーンの扉にダークな石調のパネルが映えるモダンなキッチンに生まれ変わりました。
最初から誂えたコの字型キッチンのようです。


以前と同じアングルで。
キッチン側の機能面は殆ど変わっていないのですが、以前の暗いイメージが一掃されてまるでホテルの空間に居るようです。
水栓金具や照明器具も新しく変えさせて頂きました。


カップボード側は天井まで隙間なく、そしてカウンターと吊戸棚のラインを揃えることで、以前よりぐんと広く見えるようになりました。
パネルを合わせたことも視覚的な効果に繋がっている気がします。


奥行き40cmしか確保できなかったガスコンロ側のスペースですが、炊飯ジャーを横向きに置くことで空間を有効活用しています。
炊飯ジャーを下に組込めたことで、カウンター上に今まで無かった盛付けや一時置きのスペースが生まれました。


手前右側の壁に埋め込まれた書棚は、5年前。
手前左側の壁面収納は4年前に製作させて頂いた家具たちです。
一斉に工事をしていたら・・・おそらくそれぞれこの形にはならなかったかもしれません。
その時々のご家族の状況と、不便に感じていることや必要な収納など、その都度真剣に向き合って頂いたことで、よりN様らしい空間に近づけたと思っています。

N様、この度も大変お世話になりました。
少し寂しい気もしますが、またいつでもお声掛け下さい^^

キッチン収納あれこれ

2021-10-4

気付けば1カ月ぶりの更新です。
只今通常よりもプランニングにお日にちを頂いております。
お待たせ致しますが、順にご案内しておりますのでどうぞよろしくお願い致します。

さて、昨年お世話になりましたN様宅のキッチン収納をリフォームさせて頂きました。
昨年ご紹介できなかった部分も含めて、ご紹介させて頂きます。

もともとパナソニックさんの立派なL字型オーダーメイドキッチンに、ダイニングに面してカウンターが誂えてありました。
一見、かなりの収納量と収納場所がありそうなイメージでしたが、細かく拝見すると使い辛い点も見えてきました。


例えばカウンター下のスペース。おそらく食事ができるカウンターとして造られたのだと思います。
ただ空いているだけなので、根菜や食品ストック用の木箱を置かれていましたが、重たい箱を擦らせて出し入れされていました。


こちらはダイニング側。
やはり空いているだけなので見せたくない物が見えてしまい、また右奥の収納も天板よりかなり奥まっていて上手く使えていませんでした。


大きなレンジフード横の棚も出来れば見せたくないものの、調味料やレードルなど手元で使いたいアイテムがたくさんあります。

そこで、カウンター周辺の収納を大幅にリニューアルさせて頂くことになりました。

オペ中・・・いえ、カウンター下をごっそり抜いた状態です。
今となっては懐かしく思いますが、当時はお住まいながらN様はもちろん、職人皆様にご苦労をお掛けしました。
人工大理石の天板はそのままに、その下の収納を充実させる予定です。


天板と同じ形状で台輪を設置していきます。
奥のガスレンジ横もごっそり無くなっている状態です。


本体が取付きました。
上部はダイニングからの小引出しになっていて、キッチン側からも同じように奥行きの浅い引出しになります。
下はキッチン側からの収納を優先して化粧パネルになります。


何事もなかったかのように美しく納まりました。
コーナー部分は敢えてリブパネルを使用してお部屋のアクセントとさせて頂きました。
レンジフードやキッチンパネルも新しくなっています。
まだこの時点ではガス周りがリビングから丸見えですが・・・。


完成しました。
以前の記憶が思い出せない程、最初から誂えたようにぴったりの収納が出来上がりました。


ガス横はレードル類と調味料、それぞれ引き出したまま調理が出来るのでとても便利になりました。
見えていても整理されているので逆にインテリアになりそうです。


こちらはダイニングから隠すためのトールキャビネット。
上部は両面ハッチになっていて、どちらもガラス扉なのでお気に入りのカップ&ソーサーなど並べて頂くと出し入れはもちろん、見せる収納になります。
コーヒーメーカーや電子ポットは、見せたくないので背面を隠していますが・・・


ダイニングからはこんな風に開けることができます。
キッチンへまわらずにスマートにお茶やコーヒーを淹れることができそうです。


以前、根菜の木箱を置かれていたスペースがこんなに便利なゴミ箱スペースになりました。
引出しを開けると同時にフタが開いた状態のゴミ箱が引き出され、ソフトクローズ式で閉めると同時にフタが閉まるしくみです。


以前は収納スペースはあるものの、その殆どが奥に何が入っているか分り辛い開き扉でした。
今回、全て使い勝手の良い引出しになったことで、鍋ふた専用スペースまで出来ていました^^


以前は丸見えだったガスコンロ周りもトールキャビネットが出来たことで、死角になるだけでなく空間に締まりが出来たような気がします。
ここまでは昨年ご紹介できなかったキッチンリフォームでしたが、先日シンク周りのプチリフォームをさせて頂きました。


シンク上の吊戸棚は、N様には高過ぎて殆ど使わない頻度の低い物しか収納されていませんでした。


吊戸棚の下に、目線で出し入れできるアイレベル収納を設けました。
片手で軽く開いて、閉める時もゆっくり閉まるので出し入れのストレスがありません。
一番左は水切り棚になっているので、洗った食器の一時置きに便利です。


そして今まで届かずに使えていなかった吊戸棚に昇降棚を設けました。


収納面積は減るものの、殆ど使わない収納場所から良く使うアイテムの収納場所になりました。


そしてその横にはトレイの専用スペースを設けました。
トレイは薄いけど場所をとるので、意外に収納場所に困るアイテムかもしれません。
どうせ届かず使い辛い場所ならこんな使い方もアリですね。
仕切り板は自由に抜き差しできるので、トレイ以外の用途にも融通が利きそうです。

キッチンのシンクや天板は変えずに収納だけをリフォームさせて頂きました。
収納面積はそれ程変わっていないはずですが、上から見下ろせて一望できる引出しや、目線で見える高さなど、使い勝手の面で劇的に変わったような気がします。
適材適所―。物に対しては使わない言葉かもしれませんが、その用途に合った居場所とその容量が出来たことで、予想以上のパフォーマンスを発揮してくれているようです。

N様、ちょうど一年越しでしたが、大変お世話になりました。
また家具共々末永くよろしくお願い致します。

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