デザインコンパスブログ「ポッカポカ日和」

無垢材のテーブル&ソファー

2021-2-16

昨年の秋にMさんからご紹介頂いた同じ頭文字のMさん。
以前はキッチンの柱を囲うように丸いダイニングテーブルがあったそうですが、ご家族やお友達がテーブルを囲んで座るには狭く撤去されたそうです。
ソファーを置かれている場所にしっかり向き合って食事ができるテーブルを・・・ということでお声掛け頂きました。

まず、テーブルのレイアウトとサイズを先にご検討頂きました。

Aはシンプルに正方形に近いテーブル。
Bは、週末お友達ご家族とよく食事をされるとのことで、キッチンとの隙間にカウンターを足すことができる6人掛けプラン。
Cは、Aの角を取ることでキッチン側に座る方がスムーズに立ち座りできる面取り形状。

Bのテーブルの下をくぐっていくのはちょっと・・・ということで、Cの形状にて具体化させて頂きました。


昨年入院中にスケッチしたので方眼紙・・・イメージして頂けますように。
ちょっと動物的なフォルムですが、座ったときに脚が当たらないようにというご要望で中央に寄せた2本脚でご提案させて頂きました。


奥様が座る側に学校のプリントや文具などを入れる引出しを・・・とのことで、高さなど考慮して設計しました。
ご希望されている引出しの有効高さを確保するには座面との距離が少し近くはなりますが、許容範囲とのことで製作させて頂きました。


タモの木目がダイナミックな無垢の接ぎ板テーブルが完成しました。
1.2m×1mの四角のテーブルには珍しいサイズです。
1mは向かい合うテーブルには広めですが、間口が小さいので丸テーブルのように囲むような親近感があります。


上からの目線では分かりませんが、奥様席には引出しを設けています。


A4のプリントや雑誌が入る奥行きと文具ケースに合わせた高さの引出しです。


角を落としたことで動線を邪魔しないことはもちろん、自然と中心に向いて団らんが出来るようなテーブルになりました。
形状に合わせて無垢材の手触りがよりほっこりとした温もりを感じます。
Mさんから「これで向き合って食事ができる~^^」とテーブルがあることだけでも喜んで頂けて有難い限りです。

テーブルをお届け直後に、実はソファーも・・・とご相談を頂きました。

以前テーブルの場所に置かれていたソファーがキッチン正面に移動されていたのですが、リビングにはボリュームがあり過ぎて・・・というご相談でした。
確かに階段横に大きな奥行きがはみ出していて、反対側も行き来がし辛そうです。
昨年末にご相談頂いたので一旦宿題を持ち帰り、色々と考えさせて頂きました。


昨年末中にこちらは3案目になりますが、無垢材をベースにボリュームを抑えたクッションでスッキリ見せる形状で製作のご依頼を頂きました。
・テレビを見るときには階段側にも寄りかかるので、背もたれに少し返しをつけて。
→それぞれ傾斜になった面を接ぎ合せるので施工精度が問われますが、腕の見せどころです。
・階段と反対側は動線を妨げないよう角を落として。
→テーブルとリンクしているように見えて、ちょっとしたサイドテーブルにも利用できそうです。
・クッションの下は非常用のペットボトルやストックができる収納庫に。
→クッション下に隠しフタをつけて

形はシンプルですが、要所要所にMさんだけのオリジナルが組み込まれています。


こちらは製作中のベースです。まるで風呂おけが集中治療室に入っているようですがこうして固めていきます。


一番大事な入隅部分。木目が流れているように見せることでソファー全体がより長くお部屋が広く見えるはずです。


角に何かはみ出しているようですが、雇いざね接ぎといいます。(突出した部分はあとでカットします)
板自体にさねを作って接合するのではなく、別の材を使って接合する方法です。
タモベースにウォールナットを使うことでちょっとしたアクセントにもなります。


奥様のご要望で、糸面取りよりも少し丸みをとのことで、背もたれもやさしく身体にフィットするラインです。
この丸みと傾斜のある2枚の板をどうしたらジョイントできるのか・・・家具の製作図面は描きますが、このレベルはなかなか図面にできません。
話合いはしますが、ここは職人高瀬の感覚にお任せです。


3回オイル塗装を施して、いよいよ納品の日。こんなに良い色になりました。


クッションが乗っていない状態だとこれがソファーなのか、果たして空間に馴染むのか、多少の不安はありつついざお届けです。


設置完了しました。
以前のボリュームのあるソファーから急に景色が変わって見慣れないせいか、半信半疑ですが・・・
背もたれの奥が見通せて、間違いなく以前よりスッキリと広く見えます。


階段と反対側は動線を妨げないラインの効果で寸法よりも遥かに広く感じます。


通常のソファーよりもクッションの奥行きは随分小さいのですが、心配していた座り心地がとても良く、長時間楽な姿勢でいられそうです。
「ベンチソファーなので座り心地よりもデザイン重視なところはあります」と伏線をはっていたのですが、むしろ座り心地が最高で我が家のソファーも取替えたいくらいでした。
後程、疲れなくていいですよ~と嬉しい感想を頂きました。
美容師さんのご職業柄、髪の毛が入り込まない生地を厳選して頂いたのですが、頬ずりしたくなるほど気持ちの良い肌ざわりでした^^

スペース上、サイズや設置条件に制限があったおかげで、どこにもない形状とデザイン、それに座り心地がプラスされてほっと一安心できました。
結果オーライなところはありますが、これからも「この人だからこうなった」という家具を造っていきたいです。
Mさん、無垢材の経年変化も楽しみにしてます。
家具共々、末永くよろしくお願い致します。

脱衣室に、ときめく充実収納

2021-2-8

5年前にカップボードを製作させて頂きましたMさんより、脱衣室のご相談でお声掛け頂きました。
お久しぶりのご訪問。カップボードもすっかりMさん色になっていて嬉しかったです^^


早速、脱衣室にお邪魔しました。
ご家族5人の下着類とタオル、Mさんのお仕事ウェア、洗剤ストック等々。
イケアの収納ボックスを上手に使用されていましたが、入りきれない物、レールのない引出しなど、
お仕事と家事で大忙しな毎日に気付かないうちにストレスになってしまったそうです。


必要なのは、5杯の下着用引出し、フェイスタオル用引出し、洗剤ストックとウェア用の深い引出しとのことで、図のようなご提案をさせて頂きました。
カウンターの上に洗濯カゴを置けるスペースを空けて、上部にはバスタオルを収納予定です。

上部の扉はよくある開き扉ではなく、Mさんのご要望で一枚のフラップ扉に。
一枚扉で開け閉めできる扉は引戸以外にもたくさんあるんです。
高さと収納量、それから開閉し易さをご検討頂いて、Bのスタイルになりました。


引出がこんなにあれば、遊び心がニョキニョキっと生えてきます(笑)
カップボードを水色のアクセントで楽しんで頂いたのでブルーグレーのグラデーションも候補に入れつつ、爽やかで温もりのあるベージュ系も候補に。
こんな時間が楽しくて仕方がないです^^


少し和を感じる木目をベースに、白・アイボリー・グレーベージュとその間に麻っぽい素材を入れてみました。
単色だけの組合せより、一つ異素材が入ることで木目も単色も一気に映えます。
全体的に大人しい色使いですが、清潔感とほんの少しの個性があってとっても好きな組み合わせです。
Mさんにもこちらを気に入って頂けて、いざ製作スタートです。


製作期間を頂いて、設置当日。まずは下台から固定していきます。
ギリギリの寸法設定でご主人にも手伝って頂いて本当にお手数をお掛けしました^^;


完成しました。
ハンドルや木目の横ラインのおかげで奥行きが出て、以前より広く感じます。


窓には背板を設けられないので、側板で固定。
窓枠部分も予め採寸した通りピッタリ隙間のない納まりです。


スッキリ爽やかで温もりのある空間になりました。


扉を開けるとスッキリ全開見通せます。

翌日、カメラマンのご主人に撮影して頂いた写真を送って頂きました。
ここからプロのお写真になります^^

上部の収納もフルに使って頂いて嬉しい限りです。
奥行きが浅いので、何が入っているか一目瞭然。無駄がありません。


フェイスタオルは今まで積み重ねて収納されていましたが、今回の引出に収納する為に、畳み方を変えて頂きました。
打合せ時に、この畳み方でいきましょうという寸法で引出しの高さ設定をさせて頂きました。
取出しやすそうでうっとりします。


引出は全てレールが側面に見えないソフトクローズ式です。


洗剤ストックに無駄のないジャストな引出し。気持ちが良いです。


引出の数が多いとハンドルが良いデザインになります。


できれば早く済ませたい洗濯。
干して・取り込んで・畳んで・しまうという億劫な作業がここではハミングしてしまいそうな気がします。
機能性はもちろん、やっぱりワクワクするって大事ですね。
Mさんの大好きな空間が増えて、日々充電&リフレッシュして頂けると良いなぁと思います。

< おまけ >

さて、これは何でしょう。
Mさんの写真効果で芸術品のように見えますが・・・
スケボー、ではなく今まで上に置かれていた重たい乾燥機専用の台です。
採寸のときに職人高瀬がこっそり型取りしていたそうで、私も気付きませんでした。

キャスターのおかげでまるでアイロンのようにスイスイ♪
楽に動かせるので、専用スペースを作らなくてもOK。 何だか可愛らしく見えました^^

Mさん、今回も打合せから楽しい時間を本当にありがとうございました。
これからもワクワクする物を造っていきたいと思います。
末永く、お付き合いよろしくお願いします!

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