デザインコンパスブログ「ポッカポカ日和」

家電も隠すカップボード

2023-1-30

先週からの極寒の日々が少し和らいできましたね。
硬直していた身体がやっと解けてきた感じです。

昨年の8月からお打合せを重ねてきましたF様のカップボード。
ちょうど先週の雪の日に設置させて頂きました。

 
10年少し前のご新築時、冷蔵庫も含めてサッと隠せるように、大きな3枚の引戸にされたそうです。
でも常に壁のような引戸が邪魔して中の収納が半分しか使えていない状態でした。


よくご使用されるエスプレッソマシンは引戸の手前に、ゴミ箱もその下に収納されていました。
お孫さんやご家族の食品ストックも非常に取りにくそうです。

何とか家電、ゴミ箱、食品ストック、食器を効率よく収納してスッキリさせたいと思います。
ご提案させて頂いた最初のプランです。

上は、以前のまま冷凍庫を置かれる場合のプラン。
下は、冷凍庫を移動して頂いて収納重視のプランです。
う~ん、どちらも見た目がスッキリしない・・・なんだかモヤモヤします。

F様が以前引戸にされたのは、家電も全て隠したかったからということで、今回も引戸と違う方法で隠されたいとのことでした。
そこで、下のようなご提案をさせて頂きました。


家電を隠すときに、とても大事になってくるのは「日常が使い易いこと」です。
引戸の場合、隠している非日常は良いのですが、隠していない日常が使い辛いことが難点でした。
F様の場合、扉を開けている状態が日常なので、扉が邪魔にならないよう扉自体を収納する案です。
ちょっと近づいてきましたよ^^

ほぼ決定しかけていたのですが、ハンドルを決めて頂くときにう~ん、奥様が違和感を感じられているようでした。
上の案だとクローゼットのような印象で壁のようなスッキリ感が無いような・・・

この違和感がとても大事なので、再度打合せをさせて頂きました。
以前のようなカウンターをなくして全てフラットに、上部のハンドルを無くすことで壁化させる方向です。
最後まで妥協せずにご希望を伝え頂いて本当に良かったです。

昨年末に、引戸とその周りの壁の撤去をさせて頂いて、その後に製作期間を頂きました。


さて、雪の心配なく搬入が終わり施工していきます。
天井がフラットになっているだけで以前より随分広く見えます。


奥行き68cmと通常よりもかなり深い分、収納量も期待できます。


冷蔵庫の上まで収納が繋がったことで更に間口が広く感じます。


翌日、床の敷居やその他の工事も終えて完成しました。
スッキリと壁化しながらも上品なエレガントさを感じます。


家電収納部分は扉を開けると大きな扉が邪魔ですが・・・


扉を収納すると、手前に突出することなく開けっ放しにしていもスッキリと見えます。


壁側は、炊飯ジャーとトースター用のスライドカウンター。
炊飯時に引き出していても壁側なのでそれほど邪魔に感じません。


その下はゴミ箱3つが格納されています。
以前は手前に別置きにされていたものがスッキリ納まりました。


出来たてホヤホヤの状態で家電を置いて頂きました。
予定していた配置と少し変わりましたが、コンセントも各所に備えているので色々なポジショニングが可能です^^
特等席が決まっているので開けっ放しにしていても素敵ですね。


カップボードが出来たことで、キッチンがより映えるようになりました。
キッチンの框扉と形状を合わせることもできましたが、敢えてシンプルな形状にすることで壁化を計りました。
さりげなく木目が見えている素材感も違和感なく調和しています。
名脇役なカップボード。狙い通りです^^

F様、お打合せからご協力頂いて本当にありがとうございました。
完成形に辿り着くまで少し回り道をしましたが、途中のプロセスも楽しかったです。
これからも家具共々、お付き合いをどうぞよろしくお願い致します。

 

モルタル調のカウンター収納

2023-1-18

出遅れましたが、今年最初のブログになります。
本年もどうぞよろしくお願い致します。
 
少々緊張した面持ちですが、宣伝部長もちゃんとお参りに行ってきました。
今年は工場の地鎮祭をして頂いた古賀市の五所八幡宮へ。
樹齢1000年ものクスの木は、幹の一部がムーミンにそっくりなことで知られています。
古賀市の「未来に残したい巨木」第1号だそうです。

 
幹に触れるだけで神々しいパワーをもらえた気がします。
今年も出来る限り喜んで頂けるものをお届けできますように。
14歳になりましたポッカ宣伝部長もがんばるそうです^^

さて、先日Dさまのカウンター収納をお届けしました。
お引越しに間に合わず、年を越してのお届けで大変お待たせ致しました。

キッチンと横並びになる家電置きも兼ねた収納です。


素敵なキッチンに高さと天板の厚みを揃えたいというご要望で、シビアに設置させて頂きました。


無事完成しました。古木調の木目によく合うモルタル調のカウンター収納です。
土間や暖炉のある素敵な空間にお仲間入りが出来て光栄です。


見た目以上に収納力があるので、重宝して頂けると嬉しいです。
D様、昨年から大変お世話になりました。
これからもどうぞよろしくお願い致します。

リビングのトータルコーディネート

2022-12-31

今年も大変お世話になりました。
年内最後のお仕事ブログです。
今月施工させて頂きましたK様の家具をご紹介させて頂きます。

7月にお電話頂いたときは「フロート型のテレビボードにエコカラットを貼りたい」というご要望でした。
ご新築マンションの内装設計段階で、後日平面図をご持参頂きました。

お会いした時から設計以外のお話しも沢山盛り上がってしまい、時間を忘れて楽しいお打合せでした。
リビングにお仏壇を置きたいけれども、方角的にテレビボードの面しかないということで、お仏壇を含めたご提案。
そして窓側のベンチ収納、クローゼットも少し考えて欲しいとのことで、こちらも含めてトータル的に検討させて頂くことになりました。

テレビボードの最初のご提案です。
お仏壇の存在が大きくて頭でっかちな印象です。お仏壇を上下の扉でどう隠すか等を考えていました。
せっかくテレビボードを宙に浮かせても横の広がりがあまり感じられない窮屈な印象です。

テレビボードもそうですが、クローゼットも面積の割には有効利用しづらい間取でしたので、僭越ながらレイアウトからご提案させて頂きました。


リビングからクローゼットに出入りする必要がないとのことで、間仕切り壁を右側にずらし、テレビボードの幅を拡張しました。
クローゼットの面積的には狭まりますが、長い壁面が確保できるので収納量は圧倒的に増えます。
テレビボード面の壁も寝室に支障が出ない程度に上側にずらし、リビングを広くしています。
こちらの方向で、再度テレビボードをご提案させて頂きました。

以前より随分すっきりしてきました。
お仏壇は大きく隠さず、台に乗せる方向でのご提案です。ただ、設置する高さが問題でした。
お仏壇を拝む高さは胸より少し上が良いとされます。
立って拝むには上図の高さになりますが、テレビより上では何だか仏様も落ち着かない印象です。
かといって下図になると見下ろす高さになります。


そこで、座る方向で検討させて頂きました。このベンチの仕掛けは後程のお楽しみです^^

製作期間を経て、いよいよ施工の日です。

既に間接照明も入って素敵に仕上がりそうな予感がします。


テレビボードが取付きました。お孫さんが万が一乗っても大丈夫なように下に下駄を履かせています。


テレビボードの上に壁を造作していきます。
壁から15cm手前に出ますが、この凹凸があることで空間に表情が生まれます。


ふかしていない壁にパネル状にした格子を貼っていきます。
コンマ何mmの寸法で美しく納まるように格子を割付けて製作しています。


その上にお仏壇の台を設置しました。
歪な形状ですが、全て計算されたデザインです。


梁の凹凸に合わせてピッタリ。上部の格子も美しく納まりました。


3日目、テレビを設置して完成しました。
イメージ通りの優しいグレージュを基調にした素敵な空間に仕上がりました。


窓側のベンチ収納はリビングから寝室側へ約5.8m。
凹凸のないフラットな扉がより長さと奥行きを感じさせてくれます。


一見、何も分からない壁のような扉ですが・・・


お部屋の中心になる扉にはルンバが収納されています。
開けっ放しにしていても扉が邪魔にならず、ちゃんと出動してくれます。
余談にはなりますが、取説の寸法で設計していたため扉が閉まらず最後までご心配をお掛けしました。
背面を加工してなんとかスッキリ収納することができました。日々反省です。


そして、ルンバだけでなく、お隣の扉も実は仕掛けがありました。
お仏壇に一番近い扉をキャスターで移動できるベンチにさせて頂きました。


ちゃんとこうして座って仏様と向き合うことができます。


座るだけでは勿体ないので、中も収納BOXになっています。


シンプルだけど、全ての扉を開けるとこれだけの収納力です。
お部屋は広く見えて、ベンチにもなって、ルンバや椅子も収納されて・・・一石数鳥の効果です。


テレビボードも見た目は浅い奥行きですが、ふかした壁の奥まで利用しているので、深い引出しの収納力は抜群です。


見えないところも裏側まで木目を合わせて美しく納めています。
お仏壇のお供えするときにちょっと置けるようにというご要望でスライド式に。
ホワイトアッシュの無垢材を難しい色で調色しています。
いつもこちらのニュアンスを上手く読み取ってくれる塗装屋さんに感謝です。


完成してしまうと寂しい気持ちですが、K様がずっとイメージされていたカラーや雰囲気に近づけて本当に良かったです。
コンパクトな既成のお仏壇を置いて頂きましたが、お仏壇も合わせて作って欲しいとのことで、また唯一無二のものを考えたいと思います。

K様、お打合せから楽しい時間をありがとうございました。
大変お世話になりました。
また来年もどうぞよろしくお願い致します。

皆さま良いお年をお迎えください。

 

リビングから多目的クローゼット

2022-12-29

今年も残すところあと3日。
年末ぎりぎりとなってしまいましたが、今月施工させて頂きましたお客様をご紹介します。

4月にお問合せ頂きましたN様。
ご新築マンションの入居に合わせてクローゼットとテレビボード等をご希望でした。
元々の間取りにあった和室は設計変更で既になくした状態で、そこにリビングからのクローゼットをどう設けるかが課題でした。


広さは4畳程度。
既にある奥の押入も含めた長靴型のスペースです。色々なパターンでご提案させて頂きました。

 
内覧会時に採寸をさせて頂きました。
何もないと5mもの広い壁ですが(下写真)、この一角にクローゼットを設ける予定です。


何度かお打合せを重ねて、最終的にはキッチン側から直接出し入れができる収納を設けることになりました。
スティック掃除機などが入る予定です。


掃除機を隠す扉収納の横に設置する飾り棚の向きや、クローゼットに入る引戸の色など最後まで悩んで頂いて、左下のイメージで施工させて頂くことになりました。

施工当日。何もない空間に設置していきます。

天井高さ一杯のキャビネット。掃除機の収納になります。

壁が出来上がり、合わせてテレビボードを設置します。

タイルやテレビも設置して、イメージ図通りの空間が出来上がりました。

連日仕上げが夕方になってしまい、鮮明な写真が撮れず残念でしたが、予想以上に圧迫感なく落ち着いた空間になりました。


日常は、開けっ放しでも扉が邪魔にならず楽に出入りができる多目的クローゼットです。

 
クローゼットに入って奥と手前にはマグネットボードを設置しています。
引戸の納まりもフラットで、極力凹凸をなくして開けたときも美しく見えます。


クローゼットを設けたことで間口が5mから3.8mに狭まりましたが、むしろそれによって縦横のバランスが良いテレビボードになりました。
N様、4月から長いようであっという間の期間、お付き合い頂きありがとうございました。
とても楽しい時間でした。
これからのお付き合いもどうぞよろしくお願い致します!

ずっと眺めていたいカップボード

2022-12-5

先月、K様のカップボードを施工させて頂きました。
随分前からキッチン全体のお悩みをご相談頂いて、ゆっくりとじっくりと理想形に近づけていきました。
 
窓に面した独立型キッチンで、明るく本当に素敵な空間なのですが、盛付けや調理をする作業台がないことがお悩みでした。
面積は充分にあるものの、キッチン側は家電置きにスペースを取られてしまい、お料理上手なK様にとって少々ストレスを感じるキッチンでした。
カップボード側とキッチン側両面を改善するべく、色々とご提案をさせて頂きました。


こちらは最初のご提案です。
冷蔵庫をキッチン側に設置して、家電・食品庫・ゴミ箱・作業台をカップボード側に集約させたプランです。

キッチン横には作業台を確保されたいということで、冷蔵庫はカップボード側に設置する方向でプランを進めていきます。
これではまだ作業台が足りない印象です。


最終的に、カップボード側はこんなイメージで製作させて頂くことになりました。
キッチン側はカップボードが出来ると用途が少し変わるかもしれないので、敢えて時期をずらして計画をさせて頂きます。


製作期間を頂いて、施工当日です。
既存のカップボードは別の場所に移設して、下台から設置していきます。


初日、電気工事と共に下の収納を設置しました。
これだけでもテンションが上がります^^


手の届く高さで日常使いが出来る吊戸棚を設置します。


上部の吊戸棚も取付きました。冷蔵庫上まで一本繋がることで、ぐんと奥行きができて空間が広く感じます。

 
納まりもデザインの一つ。細部の納まりが美しく感じる大事な要素になります。


2日半頂いて、完成しました。
ずっと眺めていたくなるような素敵なカップボードになりました。


重たい大皿は市販のアイテムを利用して下段の引出に。
開けてすぐ一目瞭然。必要な一枚だけをサッと取り出せます。

 
奥行きを目一杯活用した引出しの上段は豆皿の収納に。
今まで重ねたお皿の断面しか見えていなかったものが上から絵皿を眺められるようになりました。
引出して、選んで、取り出して・・・所作の全てが楽しみになりそうです^^
下段の深い引出しの2つは、内部に浅い引出しを設けて無駄のない収納になっています。


こちらは設計を具体化する前からイメージにありましたゴールドのタイル。
通常はいくつか絞って選んで頂くのですが、K様の印象にぴったりでしたので無限にあるタイルの中からこの一択でした。
正方形がひし形に角度が変わっただけでグッと優雅に感じる不思議なデザインのタイルです。

 
天井近くの収納は入れたら最後、二度と取り出さないということになりがちです。
今回カップボードのご提案でも、脚立を収納に組込んだり、昇降式の棚など試行錯誤しました。
でも大事な収納が犠牲になって本末転倒という結果に・・・。
そこで市販の軽量脚立をご用意させて頂きました。
畳めばわずか5cmの隙間に入り、上る時もグリップがあるので高所も安全に出し入れできました。
高い所の収納は多く頂くお悩みですが、シンプルな解決策の一つかもしれません。


今回一番の目的は、キッチン周辺の作業スペースと収納の確保でした。
でもそれ以上に解放感と心地良さを感じられる空間になったような気がします。
カップボードが充実したことで、キッチン横のスペースの使い勝手が少し変わってきそうです。
段階を踏んで、より理想に近づけたらと思います。

K様、引き続きどうぞよろしくお願い致します^^

 

 

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