デザインコンパスブログ「ポッカポカ日和」

和を感じるゲストルームの空間づくり

2023-5-26

3月のWBC決勝戦の日に着工しましたG様邸の改装工事。
12畳の広さがある和室から、和を感じるモダンなゲストルームへリフォームさせて頂きました。

 
元は陽当たりの良い広縁と押入、床の間、仏間が並列する大変立派な和室でした。
しかし我が家もそうなのですが物置場所になってしまい、なかなか利用する機会が少なく勿体ない空間になっていました。
畳と壁のじゅらくも長年の摩耗があり、ワンちゃんも自由に過ごせるフローリングをご希望でした。


最初のご提案です。
当初は筋交いがあるため押入だけ残し、長いテレビボードを設ける案でした。
お部屋に入った瞬間、微かな高揚感と非日常の趣きを感じられるような設えができればと考えています。


その後、G様のご要望で押入も撤去したいとのことで、素材違いで上のようなご提案をさせて頂きました。
玄関ホールの和の設えと並列する洋間には右の色合いかもしれません。
でも敢えて雰囲気を変えて左のシックなトーンで、大人の落ち着きのある空間を目指します。


こちらは使用するマテリアル達です。
最初のご提案から、一部の高い天井に使う素材を決めていたのでそこから波及していきました。
洋間ですが、全てどこかに和を感じる要素を意識しています。

そしていよいよWBC決勝戦!ではなく着工の日です。
工事は地元志免町で確かな技術と定評の(株)山崎工務店さんにご協力頂きました。

着工から数日であっという間にこの状態になりました。
ジュラクの壁が大変でしたが大工さん、あっという間の手際良さです。

 
押入横の筋交いと柱はジャッキで上げて抜き、その下に梁を足して補強をします。
その後、同じ向きの壁に筋交いを足して頂きました。


着工して十日でこの状態に仕上げて頂きました。
職人の皆様、ありがとうございました。

さぁこれから私たちの出番です!とすぐ施工といきたいところですが・・・
テレビボードでご提案していた壁面は空間が出来てから具体化されたいとのことで、再度ご提案をさせて頂きました。


ゲストルームやリラックスルームなど多目的なお部屋になるので、テレビは置かない方向で。
腰高の収納を設ける右下の案で製作させて頂くことになりました。


そして、完成しました。こちらはお部屋に入ったときの景色です。
タイルの縞模様と天井からの光にスーッと奥へと引き込まれるようです。
イメージ通りに仕上がりました。


どんな用途にも対応できるよう設え過ぎず、でも使用する素材それぞれにしっかり存在感と意味を持たせています。
床材は、ワンちゃんが滑りにくい加工を施した天然木の突板フローリングです。


ウォールナットの床に同じ材の家具では面白みがないので、セラミック調の素材を取り入れました。
合せる材によって和にも洋にも印象が変わります。
横の長さを強調したかったので、天板と台輪部分の両方に深い色を用いました。


カーテンも一緒にコーディネイトさせて頂きました。
グレー基調とゴールドの艶がシンプルながら華やかさも持ち合わせています。


入って左の以前エアコンが埋め込まれていた部分には、飾り棚を設けました。
飾られる陶器が映えるよう、背面はいぶし銀のようなタイルをセレクトさせて頂きました。


さりげなくゲスト用のコート掛けも仕込んでいます。
畳むと上のようにスマートに壁化する便利なフックです。


玄関ホールからの景色です。
純和風の戸襖をそのままに、違和感なくどう融合させるかが課題でした。
完成するまで不安でしたが、新旧の和のスタイルがお互いを引き立て合っているようにも見えます。
左の家具は、10年程前に製作させて頂いた玄関収納です。
長くご愛用頂いて感慨もひとしおです。


さて、広い空間ができたものの、どんなソファをどう置くかが難しいところです。
ご相談頂いたので、色々探してご提案させて頂きました。
普通の2人掛けや3人掛けのソファを一つ置くとそれでお部屋が決まってしまうので、どんなライフスタイルにも対応できるシステムソファをセレクトさせて頂きました。
変形の空間なので、壁に平行に置かず敢えてくずして置かれると変化に富んだ自由な空間になりそうです。
色もウォールナットと相性が良く、日本の伝統色のようなボルドーをアクセントにされると素敵です。
こちらはまだご検討中ですが、実際に拝見してみたいレイアウトです。

空間を広くおもしろくしたいというご要望でじっくりゆっくりご検討頂きました。
まだ未完成ではありますが、自由度は残しつつ、G様らしい個性が活きる空間になったような気がします。
ご家族の皆さま、引き続きどうぞよろしくお願い致します。

ショート丈の吊戸棚

2023-5-12

H様とS様のカップボードを製作させて頂きました。
どちらもショート丈の吊戸棚でしたが、それぞれ全く違うご要望でした。

こちらはH様のご提案。
上はお会いする前のご提案、下はお住まいを拝見してからのご提案です。
黒い家電が印象的でしたので、モノトーンの配色で。
隠す収納と見せる収納のバランスを意識してご提案させて頂きました。


製作期間を頂いて、図面の通り完成しました。
見せるものが整然と並んでいて、表に出していてもスッキリと美しく見えます。


真っ白に見えますが、キッチンに合わせた白い木目の扉です。


吊戸棚のオープンスペースにはダークグレーのバスケットがジャストサイズで納まっています。
こちらは設計段階で調度良い色とサイズのものを探してお客様に取寄せて頂きました。


引出しは一列だけになりましたが、天板高さを高めに設定したことで予想以上の収納力でした。
ご依頼頂くまで、キッチンメーカーなどかなり探されてご希望に沿うものが無く、オーダー家具をご検討されたそうです。
最初のお問合せの時点でご要望が明確でしたので、お打合せもスムーズでした。
H様、ご依頼頂きありがとうございました。


こちらはS様のカップボードです。
同じくハイカウンター収納とショート丈の吊戸棚ですが、全く違った雰囲気です。

 
吊戸棚は扉下の削ぎ面に手を掛けて上に開けて、閉めるときはゆっくりソフトに締まります。


天板と扉の色柄をかなり悩んで決めて頂きましたが、ホテルのような高級感ある組合せになったような気がします。
S様、製作に至るまで熱心に参加して頂いてありがとうございました。

ショート丈の吊戸棚は収納量こそ少なくはなりますが、上部に抜きが出来ることで横長くスッキリ見える効果があります。
下台とのバランスも頭でっかちにならず、圧迫感が解消されて垢抜けてみえるかと思います。
フラップの扉はご身長によって使い易い高さが違うので、機能とデザイン、色々な面でご提案できればと思います^^

5m超のキッチンダイニング収納

2023-5-2

先日、S様のキッチンからダイニングに繋がるカウンター収納を造作させて頂きました。


雰囲気があってとっても素敵なダイニングキッチンでしたが、収納力や使い勝手に問題がありました。

 
ご新築時に大工さんが造り付けられた棚は食器収納に向かず、スペースはあっても収納としてはあまり機能していませんでした。
食器はキッチンから遠いダイニング側の食器棚まで出し入れされていて、毎日となるとかなり負担になる家事動線です。
反りが激しくお手入れがしづらい無垢材のカウンターもお悩みの種でした。ファンヒーターのガスコックも考えたいところです。


左の壁から冷蔵庫まで、間口は約5.1m。この幅を活かさない手はありません。
収納力はもちろん、スッキリとお部屋がより広く見えるようなご提案をさせて頂きました。
以前は左側面の壁に置かれていたテレビもカウンターの上に乗せて、LDKに必要な収納を全て組込みたいと思います。


製作期間を頂いていよいよ施工の日です。
既存の造り付け収納はS様ご依頼の大工さんに撤去して頂きました。


こちらはダイニング収納。テレビ台も兼ねた一番左側にはレコーダーが入る予定です。


キッチン側の収納も連結させました。高さが揃うだけで感じる広さが違います。


長い長いカウンター。スリスリしたくなるほど気持ちが良いです。
格子天井と木目がリンクしていて良いアクセントになっています。


完成しました。
爽やかな風が通り過ぎていくような清々しく心地良いダイニングキッチンです。
施工の直前まで白で良かったのか不安で・・・と仰られていましたが、断然良かったと思います^^
以前よりも既存の格子天井と飾り棚が映えて、シンプルながらも名脇役な家具になりました。

 
機能も充実しています。
ガス式の炊飯ジャーの為、ガスコックのホースが極力邪魔にならないよう、下のスライドカウンターに落しています。


以前は目の高さの食器棚に重ねて収納されていた平皿や大皿類。
今度は引出し収納になったので、お皿を立てて収納できるアイテムがピッタリ入るサイズに設計させて頂きました。
キッチンを振返るとすぐ使いたいお皿が取り出せる・・・なんて気持ちが良いんでしょう!


まるで列車のような引出たち。意味もなく開け閉めしてしまいそうです。
キッチン側の引出しはハンドルを付けてゆっくり閉まる機能を、ダイニング側の引出しはプッシュオープン式で凹凸なくスッキリと。
S様のご要望がかたちになりました。

 
そして一ヶ所だけ台輪がない扉には、ガスファンヒーターを収納できるようになっています。
ずっとここで使用される物なので、一年中の定位置です。わざわざ別の場所にしまいにいくこともありません。
冬は内部のガスコックに差したまま、扉下の隙間からホースだけを出してスマートにご使用頂けます。
すぐ横の台輪部分にコンセントを仕込んでいるので、ファンヒーターはもちろんホットプレート等にも何かと重宝して頂けそうです。


カップボードとTVボード、リビング収納、全ての要素がこのカウンター収納に集約されました。
在宅されている時間のほとんどがここで過ごされると仰られていたので、より居心地の良い場所になっていると嬉しいです。
今はまだ出来たてホヤホヤで家電やテレビも緊張気味ですが、これから色々なアイテムやS様らしさが加わってどんどん素敵になっていくと思います。

S様、この度は大変お世話になりました。
これからのお家時間もたくさん楽しんでください^^
今後ともよろしくお願い致します。

和を感じる、ニュアンスカラーのサイドボード

2023-4-25

I様のリビングに、テレビ台を兼ねたサイドボードを製作させて頂きました。

初めてお伺いした際、お話し頂いたご要望は、
・今はテレビ台を兼ねたいけど、将来はテレビを置かない予定
・機器類やその配線をスッキリ隠したい
・3人目のお子様のご出産前に、収納場所を確保したい
・ピアノを左右どちらに置いても収納の開け閉めに問題のないようにして欲しい
・お部屋に合いつつ、ちょっと和の要素もあって他にない感じにしたい
とざっくりですが、このような内容でした。


コンパクトなテレビ台を置かれていましたが、間口は4.4m。
端から端まで収納を設けるだけでもお部屋が随分広く感じられそうです。
梁の下でどんよりと影になっている壁面も気になるところです。

初回のご提案をさせて頂きました。

壁に対してバランスの良い高さで間口いっぱいのサイドボードです。
素材や引出しの場所など、あえて色々なパターンでご提案させて頂きました。
木目じゃない方が・・・、和柄を取り入れたい・・・、ルンバは別の場所に置く方向で・・・
ベースプランを基に、色々なヒントを頂きました。

もう少しイメージが湧くような提案を~ということで、パースを作成しました。
自動で立ち上がる3Dパースではなく、線で描いて素材を貼り付ける古風なパースです(汗)

中央に和の要素のある素材を用いることで、全面が同じ扉よりも空間が締まります。
上下の絵は同じに見えますが、上は天板だけ木目、下は天板と台輪を木目にした絵です。
ほんのちょっとしたことで、印象が変わります。
下の絵の方向で製作させて頂くことになりました。


製作期間を頂いて、いよいよ設置の日です。
コンセント類を移設しながら家具内に取り込む準備をしています。


本体を設置しました。
壁から壁まで隙間なくピッタリです。
ピアノの前の収納をギリギリ引出せる奥行きになっています。


天板は中央でジョイントしています。
奥に間接照明も入ります。


多少の柄のズレはありますが、フラットに美しく納まりました。


間接照明も点灯しました。
梁の影でどんよりとしていた壁面が、まるで日の出のように幻想的で特別なスペースになりました。


完成しました!
イメージ通り、スッキリと洗練された絶妙なニュアンスカラーのサイドボードです。
難しいカラーバランスでしたが、中央の和柄がアクセントの唯一無二なオリジナル家具になりました。


和柄の扉以外は、引出しになっています。
こちらはDVDの背表紙が見える高さ設定の引出し。


そしてその中に内引出しを設けています。
高さの要らない細々とした筆記具、通帳、保湿剤・・・等々、何かと重宝して頂けると思います。


下段は下から手を掛けて開ける引出しに。
閉めたときに美しく見えるように、上の扉とは違うフラットな扉です。
閉めるときは全て、ゆっくり閉まるソフロクローズ機能の引出しになっています。


和柄の扉内は、機器類が入っています。
配線が見えなくなっただけで気持ちが良いですね。
扉の裏が繰り抜かれている部分は、リモコンが通るような加工をしていますが・・・


扉を閉めると全く分かりません。
この和柄の扉だけ、柄方向が間違えて入荷したため後日のお届けになりました。
待ちに待って頂いた主役の扉です。


和柄以外の扉は、なめらかなレザーのような手触りです。
少しくすんだ木目の天板の組合せはベストメンバーでした^^
木目が強い床と梁に、このニュアンスカラーは少しチャレンジでしたが、完成してホッとしました。


サイドボードが設置されたことで、以前より幅広さの認識ができたせいか随分広く感じられるようになりました。
このブログを書いていて気付いたのですが、スマホのレンズが曇っていたせいで写真がぼやけています(泣)
意図せず更に幻想的に見えるでしょうか^^;

後日、I様が夜のお写真を送って下さいました。

昼間とは違う神秘的な雰囲気です。
お子様が寝静まった後の一人の時間、ご夫婦二人の語らいの時間、日々の喧噪から離れて疲れを癒してくれる時間が生まれると良いなぁと思います。
便利で快適な機能以外に、家具ができること。たくさん増やしていけますように。

Iさま、積極的に参加して頂いて、また楽しんで頂いて本当にありがとうございました!
これからも末永く、よろしくお願い致します。

和モダンなカップボード

2023-4-24

先週末、W様のカップボードを設置させて頂きました。

最初は、既製品の食器棚のサイトと共に「こんな感じで費用はどのくらいかかりますか?」というお問合せでした。
お会いする前に、W様の設置寸法とご要望に合った仕様でご提案をさせて頂きました。


吊戸棚と引出しともに縦格子の和を感じるデザインでしたが、既製品に比べるとやはり費用がかかります。
でも置き家具ではなくピッタリサイズで造り付けをご希望でした。
そこで、現在お困りな事や使用感などお伺いするために、実際に拝見させて頂きました。


天井は高いものの一部凹凸があり、作業台の高さや引出しの数(それぞれの必要高)、ゴミ箱の容量など、W様だけの仕様がありました。
既製品だとあるものに自分を合わせなければいけませんし、何より天井高や梁など設置状況に合わせることは難しかったと思います。


最終的には当初とは全く違う、右下の仕様で製作させて頂くことになりました。
天板高は1m15cm、引出しは5杯など、背の高いW様だけの仕様になっています。
デザインは、和モダン且つお部屋に合う素材で・・・とうことで、上部に格子を用いることになりました。

製作期間を頂いて、いよいよ施工の日です。

以前と冷蔵庫の位置を変えて、奥側に家具を設置していきます。


コンセントを増設しながら下台を設置しました。


冷蔵庫上にも吊戸棚を設置します。
天井が高いので、ここだけでもかなりの収納量が期待できそうです。


凹凸のある天井に合わせて隙間なく設置していきます。


完成しました。
格子扉が印象的な趣きのあるカップボードです。


下台はタモの天然木突板、吊戸棚はタモの無垢材を格子状にしています。
上下共に格子にする案もありましたが、リビングから見える上部だけに用いました。
細い格子にすることで、モダンなインテリアにも違和感なく調和しつつ、しっかりと和の風合いを感じます。


引出しもかなりの収納量です。
5段それぞれ、W様が収納し易い食器の高さに合わせています。
以前は奥のパントリーにしまわれていた食器も、これなら出番が増えること間違えなしです^^

 
ゴミ箱もスッキリ納まりました。ゴミ箱の容量に合わせて引出しの寸法を決めました。


引出しの木目を合わせた美しい納まりです。
取っ手の凹凸がないほうが・・・ということで、J型の引手加工が施されています。


吊戸棚を細格子にしたことで扉の境目が目立たず、全面が大きなパネルのようにも見えます。
よりスッキリ、幅が広く感じるようになりました。


W様だけの使い易さとこだわりが詰まった特別なカップボードになりました。
ほんのキッチンの一角ですが、このスペースが変わるだけでお部屋全体の気や物の流れが変わります。
お仕事でお忙しい日々も、キッチンに居る時間はちょっと気分が違う ♪
元気を充電できるような場所になると良いなぁと思います。

W様、この度は本当にありがとうございました。
これからも家具共々、お付き合いをよろしくお願い致します。

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