デザインコンパスブログ「ポッカポカ日和」

リビングに調和するクラシックサイドボード

2023-11-16

K様のリビングインテリアに調和するサイドボードを製作させて頂きました。
正直にお話しすると、今までご依頼頂いた中で最後まで自信が持てない作品の一つでした。
最後まで悩みましたが、絶妙に調和していく過程をご覧ください。

 
K様のリビング壁面。大画面テレビと置き家具が配置されていました。
これからはテレビを置かず、テーブルの短辺側にも座って大人数でも食事ができるように。
多少の収納も兼ねつつ、雰囲気が良くなるようにということで、カーテンも含めてご相談頂きました。

既にたくさんの家具やカーテンがインテリアとして画一されていて、そこへどういう素材を持ってくるべきか悩んでいる中、一つヒントを頂きました。
 
気に入られている絵を飾りたいということでした。
その絵の額縁からインスピレーションを得て、色を作ってみました。
左は最初にお持ちした見本。色ムラはいい感じですが、黄色を強く出したいところです。
右は2回目にお持ちした見本。ベースの色は近づきましたが、大きな色ムラが欲しいところです。


デザインと形状は ↑ のような形でご提案させて頂きました。
3m超の長さを活かさない手はありません。
でも、椅子に座る位置は奥行きわずか15cm、両サイドは30cmと少し変形のサイドボードです。
肝心の色は、絵の額縁に合わせると少しぼやけた印象なので、気持ち濃い色で締めたいと思います。
いつも頼りにしている塗装屋Mさん、どうかよろしくお願いします!

 
果たしてセラミック調の色合いに框扉(フレームのある扉)が合うのか、そこも不安を感じつついざ製作です。
こちらは塗装前の扉です。奥行きが変わる斜めの部分は合せ角度が大事になります。
ここは職人高瀬の緻密な腕の見せどころです。

製作期間を充分頂いて、いよいよ施工の日。

テレビの配線等は、台輪を通して左側面で使って頂けるように処理します。
この配線を隠すことも目的の一つでした。


上から見るとこんな変形です。
収納以上に動線やインテリアとしての見え方など、この形状が功を奏します。


扉一つ一つを設置するごとにドキドキしながら、ついに完成しました。


今まで感じ難かった横の長さ。視界がグッと広がりました。
視線が絵画に向かうので、横の広がりに加えて遠近感も感じます。


扉と同じく天板の色も悩みました。
チークのフローリングと主張するタイル、両方に調和する人工大理石を選びました。
イエローベースで緩やかな流れ模様が名脇役になっています。


斜めの部分の納まりも着色するとまた違って見えます。
丁寧な仕事もデザインの一つです。


両サイドの収納内部の背面をミラーにすることで、重たさを軽減しました。
ダークカラーは、ガラス扉にしても中が見えにくく暗くなりがちですが、こうすることで抜きが出来ました。


塗装屋さんが何度も塗り直して納得いくまでブースから出てこなかったとか・・・。
引き取りのときにこれでOKか聞かれて、「分かりません!」と言ってしまった私。
「あんたが分からんでどうするね!」確かに・・・。
でも納めてみて、お客様に見て頂くまで本当に分かりませんでした。
K様に喜んで頂いて、ようやく塗装屋さんに報告が出来ました。


家具と一緒にカーテンもご依頼頂きました。
こちらは北側。以前の重厚なカーテンから一変、外の風景を感じられて心が洗われるような雰囲気です。


南側はラグジュアリーな雰囲気のカーテン。
この両面のカーテンが先に決まり、この間に挟まれたサイドボードの意味がより重要になりました。
結果、両方と調和しつつ穏やかに見守っているような落ち着いた家具に。
インテリアとして大事な役目を果たすことが出来ました。

私が持っている知識や能力はわずかですが、お客様に引出して頂いたおかげで少し高めのハードルを超えていけている気がします。
たまにハードルを倒してしまうこともありますが、大事なことを忘れずに感動する仕事をしていきたいと思います。
K様、この度は本当にありがとうございました。

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